本。

□life3 真っ黒い家主
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「わあ…どうしたんですか、これ!」


包みを開けると、まさにメイド使用なアンティークドレスが。


驚いて目の前に居る伯爵を見ると、ふっと笑って頭を撫でてくれた。


皇帝協会のおじさまが帰って、今日で丸々一週間が立った。
そんな時のいきなりのプレゼントに、当たり前だが疑問を持った。


「ただのプレゼントだ。」


「どうしてこんな時期に?私、ここに来た時にもうこれ貰ってますよね?」


そう、私がこの屋敷に来てちょうど八ヶ月立つ日なのだが…どうして今?
そしてこんな高そうな物(って言うか服だけど)をなんで貰えるの?
それにこれ…とは、この屋敷に来たその日にこの手に持っているのに似た服を渡されている。


「そうだが、こっちもお前に似合いそうだったからな。」


「えっ」


似合うって言われちゃった…。


私は瞬間顔を伯爵にばれないように俯けた。


「(…いつも、なんかこんな事言わないのに。
そんな事いきなり言われちゃったら恥ずかしいよっ)」


「…気に入らなかったか?」


「嬉しすぎて恥ずかしかっただけですっ」


顔を上げて、叫ぶようにして伯爵に抱き付いた。


「嬉しいです、すっごく!ありがとうございます、伯爵!」


「良かった。」


微笑まれると、やっぱり嬉しくなって私から伯爵にキスした。
少し驚いた顔をしたが、お構いなしに黒いコートに顔を埋めた。


「こらこら、しわになるぞ。」


「じゃあすぐに着ます!」


「手伝うか?」


「伯爵のえっち。」


呟いて、伯爵の頭を撫でながら「いい子で待っていて下さい、ついでにお茶の用意もしてきますので。」


そう言って私は新しい制服と共に、書斎を後にした。
扉を閉める時、笑顔で伯爵に手を振るのを忘れずに。
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