どんな言葉で

□父さんの話
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 食べ終われば沈黙と気まずい空気。



 先に沈黙を破ったのは僕。



 「相葉雅紀さんのことなんですけど」



 僕がそう言えば、父さんは視線を


 僕に向けた。




 「僕は、あの人の子供になる気は

  まったくありません。」


 父さんの眉が動いた。


 「かず、なんで?」


 「僕を産んだのは、僕に流れている血は、

  母さんと父さんでしょ?」


 「そうだけど。
  かず、翔の事は忘れてくれ。」


 そんなことを言う父さんがいるなんて

 信じられなかった。


 父さんが一番母さんを愛してた。


 「なんでよ!なんでそんな風に言うの?」



 「かずのためを思って言ってるんだ。」



 「そんなの嘘だ。大好きな母さんを

  忘れて、あの人を受け入れろなんて

  無理だよ。どこが僕のためなの?」




 また何もわからない。


 無理なことを押しつけられて

 それに従えと言われる。



 無理だよ。無理なんだよ。


 母さんしかいないんだ。


 僕をわかってくれるのは。



 いないと凄い不安なんだ。



 どこにいるの。母さん。



 お願い、何事も無かったように

 帰ってきてよ。


 ‘智くん、かず。ただいま’って
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