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□水葬カタルシス
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ありえないことがおこった。

それは高校2年生の夏…





明日から夏休み!
来年は受験だから今年は思いっきり遊ぶ!!

そう思いながら学校帰りの道を半分ニヤニヤしながら自転車で走っていた。



ふと、細い山道を見つけた。
奥には赤い鳥居が立っている。

不思議な気持ちになり、すこし立ち寄ってみようと思い、自転車を止めて足を踏み入れた。


鳥居をくぐってみても、
特に面白そうな物は無さそうだ。

無駄足だったかな…


薄暗い山道がなんだか怖くなり、
元来た道を走って抜けようとした。


おかしなことに気づいた。
さっきくぐったはずの鳥居がどこにも見当たらない!

それどころか辺りは山というよりジャングルのような木々が立ち並んでいる。


半分パニックになったアイは
とにかく走り続け、ようやく光が見えたと思いジャングルを出ると
目の前には広い広い海。



「ウソ…」


呆然と立ち尽くすアイ。
何があったのか全然理解できない。

まずここはどこ?


人気もない、鞄は自転車の籠に入れたままだから連絡手段もない。


頭を抱えてしゃがみこんでいたら
後ろから声が聞こえた。


「あれ?人間の女だ。」


振り向くとそこにはツナギを着たシロクマ。

アイの顔は驚愕に支配されていた。



なんでこんなところにシロクマ!?
なぜ日本語を喋る!?
なぜツナギを着てる!?


「大丈夫?
今キャプテンを呼んでくる!」


アイが喋る間もなくシロクマはジャングルの中に消えて行った。



「なんなのなんなのなんなの一体!!
Who!Why!Where!?」


わーわーと騒いでいると、
再びジャングルから誰かが現れた。

さっきのシロクマとダルメシアン柄の帽子を被った長身の男だった。


「キャプテン!コイツだよ!
ずっと唸ってるんだ!」


「い、いや、大丈夫!
全力で大丈夫ですから!」


男は長い剣を持っていて、只者じゃないオーラ出しまくり。


「お前、なぜここにいる。」


そんなのこっちが聞きたいわホワーイ!!!!

絶対ここ平成じゃない!
地球じゃない!


「ぃや…さ、さぁ…?」


誤魔化すの下手くそすぎだ私!!
完全に怪しい人じゃん!


こいつ絶対やばい逃げろ!!

野生の勘が絶叫しているから一目散に駆け出した。


「"Room"」


突然周囲に青っぽい膜みたいなものが現れた。



「"シャンブルス"」


ほんの一瞬だった。
10mは離れていたはずの男が私の右腕を掴んでいた。


「な…!!
なにこれ!!瞬間移動!?」


「お前とおれの持っていた石を"入れ替えた"んだ。
この空間の中は言わばおれの手術室。
お前だって解体できる。」


解体!?

超能力!?訳わかんない!!



男は剣を抜き、私に向かって刃を向けた。

どうしよう殺される…!!
こんな訳わかんないとこで訳わかんない奴に殺されたくなんかない!


「やっ…!!!!」



ドォン!!!!



「……!?」


男の攻撃は目の前スレスレで止まった。

よくわからないけどあの青いドームもなくなっていた。



「お前、何をした?」


「何を、って…
なんにもして…ない…」


目の前が急にボヤけてきた。

やばい…しっかりしな…きゃ…


朦朧としてきた私は意識を手放した。
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