メイン(小話)

□某国にて
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6月20日 21時37分


「ターゲットの情報無し、撤収する。」

「•••わかった、ありがとう。」


はぁ•••と、溜め息を一つついて電話を切る。



「今日も収穫は無しか•••」




あれからもう少しで半年、だ。

イドニアでの任務で、隊長であるクリスが負傷、そして記憶喪失。


病院に運び込まれたものの、治療を受けている最中に失踪。

誰にも会わず、気付かれる事もなく、ましてや伝言なんてものもなかった。


連絡手段であるクリスの端末は病院に置きっ放しだったため、手当たり次第に探すしかなかった。



ちょっとでも情報が入れば現地へと飛んで行き、探しては戻る事の繰り返し。

上層部でも出来る限りの事はしたらしいが、全てダメだったという。


オリジナルイレブンである彼の失踪は、BSAAにとてつもなく大きな衝撃をもたらした。




「クリスは戻って来るわ、必ずね。」

クリスと同期であるジルさんもそう言って、何回か一緒に捜索に出た事もあった。



しかし1ヶ月、2ヶ月と、時間が過ぎて行く内に隊員の間でも愚痴が漏れる事があった。

「もう戻って来ないって•••」

「無駄だよ無駄。」

「本当は逃げてるんじゃないのかな•••」


そんな事を聞いては睨みつけてやったが、自分の中でもそう思い始めてる所は正直あった。




しかし、

「俺達は家族だ。家族を信じろ。」


何度もその言葉を思い出した。

例え新人だろうと、ベテランだろうと、分け隔てなく関係を築き上げていく彼の姿が目に焼き付いている。







また明日も探さなくては。

自分に大切な事を教えてくれた「家族」を。

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