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□1.いちばん近くできみの恋を見てきたんだ
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「俺別れた」

『あ。そうですか
随分とお早いお別れですこと…
えっと、2週間くらい?
まあ…猿比古にしては続いた方ね…』

「まあな…」

私の後ろ席の伏見猿比古
家が近くて親同士も仲良くて、所謂幼馴染み

最近の彼はとんでもない
とっかえひっかえに彼女をつくりすぐ別れて
酷い時には半日で別れたね

性格は悪い
でも人より整った顔立ちに抜群のスタイル
喧嘩も強い
コロコロ女が変わるのにモテるのがムカつく

そしていちいちあたしに報告してくるのもムカつく

「なあ、お前そんな風な付き合い繰り返して何が楽しいんだ??」

「DTの美咲ちゃんには、まあわからないだろうね」

「猿てめぇ!///あと名前で呼ぶな!!」

「うるさいDT。早く彼女の1人くらいつくって卒業すれば」

隣の席の八田美咲
美咲は猿比古曰わくのDTらしい
もちろん彼女はいません
猿比古と仲が良くて、あたしともまあ

猿比古は、どうせ彼女なんて誰でもいいんたよね

ああ、なんか苛々するしモヤモヤする

猿比古、変わっちゃったね…


「なあ、A組のあの子可愛くね?」

『まあ可愛いんじゃない。猿比古が好きそうなタイプだと思う』

巻き髪、ケバめの化粧、じゃらつくアクセ
見た目からしてハデな感じ
猿比古からしたら、ああゆうのが好みなんだろうね

いきなりあたしに聞いてきた
ああ、次はあの子とね
数日後、案の定猿比古はあの子と付き合い始めた


「最近さ、猿比古付き合い悪くね?」

『どうせ彼女とイチャイチャしてんでしょ、まあお互い幸せならそれでいいんじゃない?珍しく長く続いてるし』

「夾架、最近機嫌悪くね?」

『まさかー…美咲の勘違いよ』

「そうか?…わりぃ」

珍しく長く続く猿比古の恋愛
それに伴い休み時間もいないことが多いし、お昼ご飯を一緒に食べることもなくなった
美咲と放課後遊びに行く事もめっきり減ったらしい

…別に、気にくわないとか思ってないし
猿比古が幸せならそれで良い


「なあ、女って何もらって嬉しい?」

『いきなり何さ…』

「だからー…誕生日プレゼント。何貰ったら嬉しいか聞いてんだよ」

こうして相談される事は多くはなかった
プレゼントとか、めんどくさがってあげなそうなタイプなのに…
やっぱり今回の子は本気の本気なんだね

あたしがずっと考え事して黙ってれば、鋭い痛みが頬に伝わる
猿比古に抓られたんだ

慌てて猿比古を見れば素晴らしくご機嫌斜め

「聞いてんのかよ」

『ああ…ごめん…、てか本人に聞けばいいじゃん』

「そういうわけにはいかねえんだよ。こういう事聞けるの夾架だけだし」

…なにそれ
困った時だけ頼ってきてさ
あたしは猿比古の便利屋じゃないっつの

「まあいい、来いよ」

『あ、ちょ!猿比古離してよ!どこ行くの!?』

「今から選び行くんだよ」


強引にショッピングセンターに連れてこられ、強引に選ばされたネックレス
本当は、あたしがあのアクセ欲しかったんだけどね

あれ可愛いって言ったら、他に見向きもせずそれを選んだ

あたしの好みで欲しかったやつは、いつも彼女の胸で輝いている

あーあ、なんか虚しいね


『あ、お邪魔しました…』

しまったしまったしまった!!
なんで今日に限って忘れ物をしてしまったんだ

部活終わりで日も暮れかかってるから、教室に誰かいるなんて思いもしなかった

まさか、猿比古と彼女のチュー現場を目撃してしまうとはね…

「これ、取りに来たんだろ」

『…うん、ごめん。すぐ出てくから…』

「気をつけて帰れよ」

ノートを取らずに見なかったことにして帰ろうかなって思ったのに、猿比古がチューを中断してまで私のノートを取ってくれた

…なんで私がノートを忘れた事を知ってんだ

それに、気をつけて帰れよとか、言われなくても普通に帰るし、あたしを襲う人なんていないし、いたってボコボコにしちゃうし


それにしても彼女のはだけた服といい、猿比古の投げられたブレザーやら
なにしてんだか…

なんか胸が苦しい
このモヤモヤした気持ちは、一体なんなのだろう

…ムカつく
 

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