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□5.意識してるって気付かれたら終わりだね
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「夾架、髪伸びたな」

『うん、伸ばしてるの』

「武道すんのに邪魔じゃないのか?」

『あげちゃえば邪魔じゃないし?ちったあ女らしくなろうと思いまして』

嘘。猿比古がミディアム好きなの知ってるから
まあ、女らしくなろうとしてるのはほんと
でもすっごい邪魔だよ

こうして少しでもあたしの事見てくれるだけで嬉しい

でももうすぐ卒業
猿比古美咲は高校行かない
あたしは近場の高校に進学が決まってる

これから進む道も全く違って、いくら家が近いからといっても、きっと会うことはなくなるんだ

それでも、少しでも猿比古の理想に近付きたくて、色々と気使ってるんだよ


「夾架、なんか女らしくなったよな」

「何、美咲欲情しちゃってんの?」

「べ、別にんなことねーけどよ…まあ、可愛いんじゃね?//」

「チッ…いきなり変わってんじゃねーよ…」

「猿比古、お前さ、夾架の事好きなんじゃねーの?夾架の事になると逆に不機嫌になってさ、よく見てるし」

「まあ…好きかもな…夾架はんな事微塵も思ってないだろうけどな…」


いい香りのシャンプー、ちゃんと毎日トリートメントだってしてるし、猿比古の嫌いな甘ったるい匂いを避け、柑橘系の香りを身にまとい、少しだけスカートもあげた

アクセも少しつけたりしてる

こんなことで猿比古の目をひけるなんて思ってないけど、物は形から、全て自己満です

皆に変わったって言われるようになって、あれ以来誰にもがさつだなんて言わせてない
もちろん猿比古にも言われなくなったし

あたしも随分と猿比古の事、好きになってんだな
あはは、恥ずかしいったらありゃしないよ

叶わない恋、わかってるけど、なんか楽しいからいいの

きっと卒業するまでの、一時的な気の迷いだから
猿比古に会えて話せるのも、あと残り僅かな日数

猿比古はあたしの思いに気づいてるのかな

まあ猿比古の事、常に意識してるなんて気付かれたら
恥ずかしくて死んじゃうよ
 

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