title
□10.ずっときみの大切な幼馴染みでいること
1ページ/2ページ
好きだ…夾架…
今でも耳に残ってる
ホントにそう思ってる?
あれから数日経って、猿比古も特務隊の一員として良くやっていて、あたしよりも莫大な量の仕事をこなしていて、少しだけ仕事がスムーズにいくようになった気がするんだけど…
「夾架くださいって何度言ったらわかるんすか」
「すみませんが、それだけは譲れませんね。今まで夾架の事散々泣かせてきたのになにをいうんですか」
「俺はあんたより夾架を守れる自信あります」
仕事中になに言い争ってるの
最近の猿比古は口を開けばこればっかり
そしてそれに反応して、言い返してしまう礼司さんもどうかと思う
猿比古の冗談にいちいちかまってられるほど、暇じゃないと思うんだけどな
「早く夾架と別れてください」
ちょっと、この人なにいってんの
「…わかりました」
『は、はい!?』
待って、猿比古もだいぶおかしな事言ってるけど…、礼司さんまでそんな冗談やめて
『なん、で…』
「出会った時から、ずっと好きでした。ですがあなたは、いつもどこか寂しげでした。その寂しさを必死に埋めようとしてるのは、最初から気づいていました。その気持ちを利用して、夾架を手にいれて、少々思い上がってたのかもしれませんね。やはりあなたを幸せにできるのは、私ではなかったみたいです。だから、ここまでです」
あたし、知らず知らずのうちに礼司さんの事、傷つけてたんだ…
この人には、なんでもお見通しなんだ
ここまで、か…
「夾架、今までありがとうございました」
初めてみた、礼司さんの儚げな表情
それから優しくあたしを抱き寄せ、キスをする
思えばファーストを捧げたのは、礼司さんだったな
いろんなことを教えてもらって、とても優しくて、決して長い期間付き合ってたとは言えないけど、その期間はとっても充実してた
思い出すだけで、涙がとまんないよ
『礼司さん…大好きでした…』
「じゃあ、もう俺のってことでいいんすね?」
「はい。泣かせたりしたら、すぐに別れていただきますよ」
こんな形で、こんなにもあっけなく終わるとは、思ってもなかった
でも、もっとああすればよかった。こうすればよかった。とか、後悔はしてないよ…
ーーーーーー
「なあ、いい加減そのネックレス外せよ。元彼に貰ったもんずっとつけてて、未練タラタラみてえだし、見てて腹立つんだよ
あと、室長の事、名前で呼び続けんのもやめろ」
『いやよ。絶対外さない。これは礼司さんが、一生懸命選んでプレゼントしてくれた大事なものなの!猿比古昔、彼女彼女って、あたしにはくれなかった!あたしあのネックレス凄い欲しかった。
それに、あたしが誰をなんて呼ぼうがあたしの勝手じゃない!
…別に、猿比古はあたしの彼氏じゃないんだし』
別れた後もあたしの首に変わらずかかっているネックレス
猿比古の前で何度か口にしてる"礼司さん"
それが気に入らないのか、不機嫌オーラ全開であたしの胸元を睨みつけてくる
そればかりか、ネックレスを引きちぎろうとすら思って、チェーンに手をかけてくるからすかさず手をはたき、死守した
「…はあ?別れた時点で、夾架は俺の彼女になったんだっつの」
『あたしは付き合ってるつもりなんて、全くないけど?』
なにバカな事言ってるの
確かに強引に近い形で礼司さんと別れたけど、それからはずっとフリーだもん
だって…
『付き合って。とかそういう事、一切言われてないもの』
「お前めんどくさい」
『はいはい知ってますよ。あー、やっぱり別れたくなかったなー。どっかの誰かさんのせいでな…』
なんて冗談だけどさ、棒読みで語ってあげたら急に視界が真っ暗になった
あー…あったかい。猿比古に抱きしめられて、胸に顔埋めさせられてるんだ
「付き合って…ください…」
『なにその棒読み、ムードもありゃしないわ。今まで女の子落としてきた時に使ってたであろう言葉の1つもいえないの?』
「あーもう、マジでめんどくせぇ…。好きだっつってんだろ、いいから付き合え」
強引すぎ、めんどくさがり。なによ、昔みたいに言えないの?
でも猿比古の心臓の音、凄い聞こえる。鼓動が早くて、あたしにも伝わってきてる
照れてるんだ、らしくない…
『考えとく…///』
「今すぐ付き合え、もう待てねえよ」
『考えさせてよ…///』
「んな暇ねえ。結婚すんだから、いつから付き合おうが関係ないだろ」
『…!!///』
あの約束、猿比古も覚えてたんだ、てっきり忘れてるとばかり思ってた…
あーもう、恥ずかしい!!顔から火が出そう
ムードもへったくれも存在しないのに、何かあたしもドキドキしてきた
あたしの心臓の音も、猿比古に聞こえてるのかな
『わ、わかった、いいよ…///』
思ってたより、女心わかってんじゃん猿比古も、ずっとあたしの事思ってくれてたんだね
「夾架、お前さ、俺に胸あててんのか?心臓の音うるさい」
『あっ、あててない!!//抱きしめられてんだから、しょうがないじゃん…//』
思わず離れ猿比古と目があってしまい、恥ずかしくなって目をそらしたらわ、両の手があたしの頬に添えられてきて、キスをしてきた
『ん……ん!?///』
なんでこの雰囲気で舌!?なんなの、バカなの?
猿比古的キス=舌もなの!?
礼司さんは、フレンチの方が多かったな…
「おい、人がせっかくキスしてやってだから、他の男のこと考えてんじゃねえよ」
『なっ、考えてないわよバカ猿比古!!///』
「バレバレなんだよ」
『バカ!嫌い!どっかいっちゃえ!!///』
精一杯胸板を押し返して、離れて、とりあえず逃げる
「俺から逃げられるとか思ってんのかよ」
再び胸に抱き寄せられ、耳元で囁かれればぞわっ全身の毛が粟立つ
この人なんなの!?
ーーーーーー
自分でいうのもなんだけど、案外猿比古とうまくやってるのかもしれない
付き合い始めて少しずつ昔みたいに戻ってきて、時にケンカというか、言い合いするけど、お互い言いたい事言い合ってスッキリしたら、元通り
恋人。とはちょっと違うような気もするけど、まあそういうムードもたまにはあるんじゃないかな
仕事では、特務隊の出動があった時、情報メインにしてるくせに前線にでてきては、あたしを守ってくれる
猿比古になら、安心して背中を任せられるいいパートナーかな
でもやっぱり、幼馴染みっていうのが1番しっくりくる関係かな
幼馴染み兼、パートナー兼、恋人。
これをずっと望んでたんだ
なんだかんだ言ってるけど、猿比古のこと大好き
報われない幼馴染み
ー最近漸く報われました!ー
END.
→あとがき