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□3.頭なでんのやめろってば
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『八田、ここ違う!さっき教えたばっかりのとこでしょー?』
「へいへい」
『ちょっと、それも違う!んもーー八田おバカすぎ!!』
期末テストを目前に控え、このままではまずい事になると判断した夾架は、自宅に八田を連れ込み勉強を教えていた
自分の勉強は、伏見ほどではないが進んでいるので八田にひたすら教える
数学を教え始めてはや1時間
一切の成果が見られない
この男は事の重大さに気づいているのだろうか
『八田!赤点とったら休み中補修詰めだよどーすんの!!』
「あ?こんなもん、俺が本気出しゃなんとかなんだろー」
『今までそうやって言ってきて、なんとかなったことないじゃん!!』
赤点常習犯の八田
今回のテストでも赤点を取った際は、徹底的に補修を受けさせて改善させる。と教科担当がそれぞれに口を揃えていたのを夾架は聞いてしまった
そんな事になってしまったら休み中どこにも遊びに行けない
せっかくの長期休みを無駄にしてたまるか
夾架は八田に火をつけるための策を持ち出すことにした
教員の話を聞いて一生懸命考えた策だ
『八田!補修逃れたらいっぱい遊びに行こ!あたし八田と行ってみたいとこ山ほどあるの!…それとも休み中は教室の机とイチャイチャしたいの?あー残念だなー、悲しいなぁー、猿くんと遊びに行こうかなー』
「わぁーったよ、おめーがそこまで言うなら頑張るよ」
目を輝かせながら八田に遊びに行こうと提案
そしてそれだけでなくわざとらしく、しょぼくれた態度を取ってみる
わざとらしく演技したって、おバカな八田相手には効果は覿面だ
『ほんと!?嬉しい!』
「ホントだよ、だから勉強教えろよな」
『りょうかい!八田、頑張ろうね!!八田なら絶対出来るよ!』
上手く乗ってくれたみたいで安心した
1度やると決めた八田は、絶対にやり遂げてくれるのを知っていた
元気づけるように頭をポンポン撫でれば、犬が吠えるかのように怒られてしまった
が、気にせず撫で続けた
「おい!頭なでるのやめろってば!」
『大丈夫、頭撫でても背は縮まないよ!』
「そういう問題じゃねえ!」
八田が自力で問題を解いて正解する度に、ご褒美と称して頭を撫で続けた
ちっともご褒美なんかではなかったが
そうした挑んだテストで、全教科平均以上…とはいえないが赤点を無事に回避して、夾架に偉い!凄い!と散々頭を撫でられて、後頭部が禿げてしまうのではないか少し心配になった