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□4.絶対見下ろしてやるからな
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『八田、日誌書き終わったよー。八田は?』

「おー、あと黒板掃除するだけ」

『手伝おうか?』

「いや、いいよ。汚れんだろ?」

『はーい、ありがと』

本日日直であった2人は放課後、教室で仕事を全うしていた
一緒に帰るのが日課であるので、伏見も最後列の端にある自分の席で端末を弄っていた

日誌を書き終えた夾架は手伝おうかと持ちかけたが八田はそれを、汚れるから。という理由で断った

しかし夾架が手伝おうかと言った理由は、2人でやったほうが早いから。ではなく、八田の一生懸命黒板を掃除する姿が健気だったから

その意図には気づいていないようで、敢えていうことはしなかったのだが、もう時期終わるという会話を耳にした伏見が黒板の近くへとやって来て、腹を抱えて笑い始めた事によって八田は気づいた

あえて言わなかったのにと夾架は落胆した

「おいおい美咲おまえ…ははっ、椅子に乗らないと上が届かないとかまじ笑えんだけど」

「うっせーぞ猿!しょーがねーだろ届かねぇんだからよぉ!」

「夾架だって椅子乗らなくても届くぞ」

『猿くんそれは禁句!』

伏見に背を押され、強制的に椅子に乗っている八田の隣へと立たされた
椅子に乗らずとも、多少の背伸びをすれば届いてしまうのは分かっていた
分かっていたけど、八田が拗ねるのは目に見えていたので言わなかったのに

椅子の隣に立つ夾架を見て、八田は新鮮な気持ちになった
当たり前だが椅子に立つ八田の方が背が高い
夾架を見下ろす事によって八田はいつもよりも優位にたった気がした

「俺こんくらい背高くなりてーわ!いや、なってやるぜ!」

『やー、ちょっと厳しいんじゃない?』

40cm弱の高さの椅子に乗る155cmの八田
これから195cmの身長にたどり着くなんて、到底無理だと思った

伏見もきっぱりと無理だと言い切った

195cmは無理かもしれないが、165cmを抜かすのはいける。
と、どこからか自信が湧いてきた八田は、ドヤ顔でこう言った

「絶対見下ろしてやるからな」

夾架は優しい笑みを浮かべて待ってる。といった
彼なら本当に抜かしてしまうかもしれない。と思ったのだ


 

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