long

□01
1ページ/3ページ



2years ago..


もうダメだ
このまま私は殺されてしまうのかもしれない
いつ殺されるかわからないという恐怖を抱えて、長いこと我慢してきたけどもう無理、限界だよ
限界なんてとうの昔に超えてしまったけど、なんとか耐えてきた
でももう辛すぎる、耐えられない

自分を実験動物や道具と同じようにしか見てくれない、残虐非道な大人たちに囲まれ、自由を奪われて好き勝手に扱われる毎日
こんな気味が悪いところで生活していたら頭が可笑しくなってしまう
いや、もうなってるかもしれない

でも今日で、こんな生活とはおさらば
自由を取り戻して、自分の好きなように生きるんだ

…逃げ出そう
でもまたすぐに見つかっちゃって、連れ戻されるのかな
ううん、大丈夫、きっと逃げ切れる

大丈夫、怖くない…
一人でどうにか出来るし、しなくちゃ

でも本当は怖いよ……
……ねえ、誰か、助けて…


ーーーーー

少女は全速力で走っていた
否、少女ではない
少しばかり幼い顔立ちのせいか、彼女は実年齢よりも若く見られがちなところがある

炎のように赤に輝く夕日を背に、知らない地を行く宛もなくただひたすらに彷徨う

彼女は追われる身だ
今朝、ずっと自分を閉じ込めていたストレインの収容施設から逃げ出した

逃げ出すのは容易だった
ほんの少し、人より強い力を使っただけで手錠も、足枷も、監視役も、警備員も、自分を取り巻き不自由にさせるものを意図も容易く取り払った
思っていたよりも簡単に逃げ出すことができたので呆気に取られた
もっと早くに逃げ出していれば?辛いめに遭う機会も少なかったのではと思い少し後悔した

施設の連中はきっと今頃血相を変えて自分を探し回ってるはずだ
見つかり次第拘束され、連れ戻されて厳重処分が下されるのは分かっていた
今までよりも酷い目に合わされるのも分かっていた

だからこそ、必ず逃げ延びなければいけない

逃げ切れると軽はずみの気持ちで言ってるわけではない
彼女の一世一代の決断であり、賭けである

不安な心を振り切って、必ず逃げ切ってやると再び固く誓い、自らを奮い立たせた
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ