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ーなんで。
あの八田が、猿比古が…。
ねえ多々良、あたし、どうしたらいいの…?

しゃがみこんだまま動かない夾架の身体を八田が抱き寄せて庇うようにする。
その八田の前には投擲用のナイフを持つ伏見。

その伏見と睨み合うのは、いわゆるマフィアだとかヤクザだとかいう人たちで、黒のスーツにサングラス、少し大きめのアタッシュケース。
いかにも、という感じだ。

今にも戦いが始まりそうな雰囲気。

「あんたのことは、俺らがぜってー守る。なあ、猿比古」

『で、でも…』

「当たり前だ。ケガ人は黙って見てろ」

「尊さんにもらった力、見せてやるよ。俺ら吠舞羅をなめてかかるとどうなるか、きっちり叩き込んでやる」

この2人が吠舞羅の名を掲げ、戦おうとしている。
いつかに夢見、想像していた光景とそっくり同じだった。

歳が4つも離れた中学生に守られるだなんて。
悔しいけど仕方ない。と思ってしまう。だって、現に足がすくんで立てないから。

八田にしがみつくのが精一杯で、小刻みに身体を震わせながら俯いた。
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