リアルタイム
気ままな日常話。
大体、お腹が減ってるか、眠たいか、ロクな事を考えていないかの、三つの思考で生きてます。
※突然の爆弾、地雷、ネタバレ在中。
◆選ぶ未来の先で 御克
幾度の月日を越えたあと、久し振りに顔に掛けてみるも、その眼鏡は、ただの眼鏡になっていた。
見える景色も、掛ける前と同じで。
掛ける事で湧き上がっていた万能感も、今は姿形すら見せていない。
だから、だろうか。少しばかり、寂しい気持ちを抱いたのは。
眼鏡を掛ける事を、あれ程まで拒絶していたのに、今更になって失ったことに喪失感を覚えて。
きっと、都合の良い人間だと、罵られる事だろう。
……誰に?
「誰だろう……」
独り言を呟き、自身の手を見詰めると、慣れ親しんだ感覚と共に拳が握られる。
それを、またゆっくりと開いたのち、前を向けば、自分が住んでいた狭いアパートではなく、それよりも心落ち着く部屋が視界に映り込む。
静かに眼鏡を顔から外せば、暖かい日差しが揺らめいて見え、今日も穏やかな日が来る事を教えてくれる。
「ありがとう」
口にすると、何だか安っぽいのだが、これが1番しっくりくる。
眼鏡を棚に置いて、身支度を済ませば、いつの間にか眼鏡が無くなっている事だろう。
それでいいのだ。いつかまた、自分の事を心配してくれた時に、あの眼鏡は現れる。
その時まで、どうか
「さよなら、またな」
「また……」
その眼鏡は、絶望だった。そして、希望でもあった。
自分を必ず救ってくれる存在でもあり、自分が不幸なのだと教える存在。
手に取るのは、自由で。手にしないのも、自由。
選ぶ余地を与えてくれるだけ、マシなのかも知れないが、選ぶ間もなく選択する時が訪れる。
眼鏡をかける
眼鏡をかけない
強い人間であろうとした。彼の隣に立ち並べれるように。
けれども、結局は繰り返されるのだ。
逃げたくて、逃げたくて、仕方の無い場面に。
足に力を入れても、歩けず。腕に力を入れても、引き止められず。喉が張り裂けそうな程に、叫びたいのに、叫べない場面に。
ただ……。
「それでもなお、君が這い上がってくる事を信じていると言ったら笑うか?」
「俺は、お前を信じている。それは、盲目的にじゃない。佐伯克哉という男を、ずっと隣で見てきたからだ」
「克哉さんは、克哉さんが自分で思っているより強かだよ?それは、オレが保証する」
どの道を辿ろうとも、選択肢は1つ。
眼鏡をかける
→眼鏡をかけない
だから、また。
いつか、また。
「……心配してくれて、ありがとう」
礼と共に、こいつが消える。
誰も心配していないという悪態は、耳の奥から聞こえてくるのだが。
それに笑いを零すくらいは、赦されたい。
2017/07/03(Mon) 18:48
◆no title
荒廃していくしかない街のどこかで、君と共に生きられる喜びを味わっていた。
朝日にベッドを照らされる事で起こされ、日がな一日何かを見て考えては、幸福の微睡みを覚えて眠りに就く。
そんな毎日を、ただ君と過ごして……。
ずっと、過ごしていたかったのだ。他の誰でもない。君と共に。
ひとりぼっちの惑星
今、私は、君の瞳の色と同じ地球を見ています。
見ていると、やはり……、早く君に逢いたくなります。
この言葉が、君に届くと信じて、今日もメッセージを送ります。
星の開拓者×地球に残された人の御克
もう綺麗な青色ではない地球の事を口に出来ずに、ずっと君の瞳みたいな地球を見て君を思い出すと、メッセージを送り続けるのだけれど、星の開拓が終わる頃には、上流社会の人間しか移住出来なく、死の星と化した地球に部長も戻る事ができず、ひとり孤独に御堂さんが送ったメッセージを録音していた機械を流し続けている克哉という、とりとめのないネタ。救いがないから、ダメ(ヾノ・∀・`)
蓄音機最高と思っただけ。
2016/10/16(Sun) 23:12
◆no title
日常に戻りたいと思う気持ちと、非日常のままでいいと思う気持ちが同居して、いつか自分を見失う克哉ってのが、好きだなと思いましたまる
2016/09/16(Fri) 10:07
◆臆病な純愛って、やっぱいいよね。 御克
以前に住んでいたアパートでは、遠くで走る電車の音で目を覚ましていた。
まだ空が薄暗い中を、電車の走る音だけが静かな空間に響き渡り、日常が始まるのを教えてくれる。
けれど、彼のマンションに越してきた時から、その音は聞こえなくなり、いつも自分の声と、彼の話す言葉しか聞こえなかった。
「……」
自分の耳に触れた後、ゆっくりと肌を辿り、指先で首筋を掻くと、必ず最後には固い感触が指先に当たる。
赤い首輪は、息苦しくない所で留めてあり、段々と白くなっていく自分の肌に映えていく事だろう。
「……。ガタン……、ゴトン……、ガタン……、ゴトン……」
ベッドに裸で横たわりながら、両手で両耳を塞ぎ、過去の日常さえも遮断して。
ベッドに持ち寄った愛という名の非日常の中、小さな声が電車の音を響かせていた。
2016/09/16(Fri) 10:03
◆平燭
平門の恋人は、天然である。
「そんなに、お前もシフォンケーキが好きなのか?」
ソファーに並んで座り、彼が好きだと言えばケーキだと思い、仕方ない一口やろうと、彼の恋人、燭がフォークで切り分ける。
そんな優しい一面が恋人にはあるが、何秒か見詰め合って好きだの台詞が囁かれたのなら、普通は自分の事だと思い、キスの合図だと考えられる。
けれども、解釈違いをした燭に対して、何ら言う事もなく給餌を受ける平門はにこやかな笑顔で美味しいですねと話す。
その台詞を聞いて、嬉しそうな顔をする燭を、またもや可愛いと思い、好きだなと思う。
「燭さん」
「何だ?」
「キスもしたいです」
だから、平門がストレートに言えば、真っ赤な顔で口を開閉させたあと、少しばかり悩んで顔を近付けさせて、子供みたいなキスを燭がするので、可愛いと言う本音も彼が口にしていた。
2016/08/05(Fri) 11:18
◆no title
本城誕
未来と言うのは、いくつもの選択の上に成り立っていて、ようやくそこに辿り着いた彼の目には、酷く寂しい景色しか写らなかった。
どの選択をしたのかは、彼はよく覚えていた。
それは、とても浅はかなものだとも理解していて。
けれども、知っている者が誰もいない街で、逃げた先は多分同じ。
得られたものは、興奮と快楽。失ったものは、数多く。
あの時、彼の傍に誰かいたのなら、きっと未来は変わってはいたのだろう。
しかし、どう足掻いても過去の彼は、孤独であった。
溺れた魚
飽きた\(^o^)/
2016/07/09(Sat) 21:03
◆朔燭 死ネタ
自分で選んだ道を恥じた事はない。
勿論、悔やむ事も。悩む事も。
明確な行き先を決めているからこそ、自分の道はこれで合っているのだと信じられていた。
けれど、一瞬だけでも、こう思ってしまった。
『朔!!』
だから、叫んだ。どうしようもない衝動と共に駆け出して、転げそうになる前に、まだ少しだけ頼りない腕に助けられ、今生の別れのような気持ちで相手に縋った。
『……燭ちゃんは、泣き虫だな〜』
『……うるさい』
『俺が卒業するの……、寂しい?』
答える代わりに、背中に回した手で強く相手の服を掴んだ。
肩に顔を埋めると、優しい手付きで髪を朔が撫でてくれ……。
『また逢えるよ。だから、どうかそれまで……』
どうか、忘れないでと願った。それは、私も。
ずっと、ずっと。傍にいる事も。幸せでいる事も。哀しみを分け合う事も。一人で苦しまずに、相談する事も。
一生涯、愛し続ける事も。
しかし、そんな約束を抱えて生きた事で、歪んだ現象を生み出してしまう。
研案搭の研究総長になって幾年も過ぎた頃、目が覚めたら、木陰のベンチに座っていて。
「燭ちゃん、起きた?授業始まるぜ?」
見慣れた筈の赤髪は同じなのに、いつもあいつが浮かべていた笑顔には幼さがふくまれており。
「……朔?」
「なに?寝惚けているの?」
『燭ちゃん!危ない!!』
願った事は、多く。
祈った事は、一つだけ。
「燭ちゃん!?大丈夫!?どこか痛いの?」
「いや……、どこも痛くない。ただ……」
・・・・・・
「あいたかった」
どうしようもなく、あいたかった。
だから、祈った。
“朔に逢わせて下さい”
震える手で目の前の少年に縋り付くと、血の匂いが濃く香った。
多分、これは自分の香りで。
だから、静かに瞼を閉じる。
頭の片隅で思う。思い出だけが鮮明で、本当はどこにもいない。
「……。燭ちゃんは、泣き虫だな……」
「……。……」
「いつだって、逢えるよ。俺は、ここに……、燭ちゃんの傍にいるからさ」
優しく髪を撫でる手。愛しく私を呼ぶ声。離れないようにと、力強く抱きしめてくれる身体。優しい気持ちを抱かせてくれる、愛情。
その全てが、もう私の傍から失われている。
「だから……、頑張って生きてよ……」
それなのに、逢いたくて仕方なかった私は、世界で一番愚かしい。
うたかたに惑う
走馬灯の中で見る夢ほど、哀しいものは無かったけれども、その一瞬にすべてを見た。
現実に戻った瞬間、大声で泣き叫ぶから、どうか……。
どうか、その声だけでも聞いて、私を置いて逝った事を後悔してくれ。
2016/05/24(Tue) 16:33
◆no title
花礫:自分の夢は、自分でしか叶えられなく「そもそも夢を持っても、諦めるしか選択肢が無かった。だから、自分の努力で叶えられる夢ならば、どんな事をしてでも叶えたい」貪欲になりたいと思う。誰でもない。自分の為に。
2016/05/23(Mon) 20:32
◆no title
同じく朔平ネタ。猫箱話を書きたかった。
能力躰に似せた擬態機をいなして躱す姿は、しなやかに動く獣のようで。
向けられる敵意に足を竦ませる者もいると言うのに、普段と何ら変わりなく行動して、擬態機の停止スイッチを押して眼鏡を直す少年は、自分を見詰める少年に視線を向けて、こう告げる。
「解っただろう?朔」
眼鏡の少年は笑う。艶やかに。美しく。
「俺は、独りでいい」
孤独な獣のように。
シュレティンガーの猫箱
2016/05/23(Mon) 20:32
◆no title
朔平ネタ
シュレティンガーの猫箱理論のように、彼を語るには多くの観測者が必要であった。けれども、その観測者の発言は彼の全てを表せるものではなく、彼の一面しか見出だせない事で、底知れぬ何かを彼が抱いているのだと思わせる事になる。
彼の兄は言った。彼は、孤独を愛しているのだと。
彼の講師は言った。他者を攻撃して、自分を守りたいのだと。
彼の友人は言った。その二人の発言は、違うのだと。
彼は、孤独を愛してはいないし、自分を守りたくて他者を攻撃している訳でもないのだと。
『誰にも、自分の気持ちは知られなくていい』
守られているのは、誰だろう?
2016/05/23(Mon) 20:31
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