小さなカケラ
□どんなお前も愛してる
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ただただ哀れとしか言いようがない
知らずに絡んだが悲劇の始まりか
「グッ…ぁ…もう……助け助けて!!」
「何逃げてんのぉ?俺まだ終わりって言ってないでしょ〜」
「ア"ァ"ァァ!!!」
「ははっ汚い悲鳴!でも償いにはまだ足りないねぇ」
(あぁ…気分悪りぃ)
助けを求める叫び声に恐怖にひきつった表情。必死に逃げようともがく姿。目の前に広がる光景が現実じゃないようだ
使用されてない廃屋の中ざっと数えて10は越すだろう不良達を一人でいたぶり続ける黒髪に所々青メッシュを入れたイケメン
愉しそうに笑いながら殴る姿は殺人鬼みたいだな………いたぶってる奴俺の彼氏だけど
「凪の事を知らずに絡むから…自業自得だとは思うが憐れな」
全員数十分前、平凡な顔の俺に目をつけ絡んできた奴等だ。目的はカツアゲかサンドバッグ辺りだったんだろう。
何処で見ていたのか直ぐに般若を背負い駆け付けてきた凪によって今は自分達がサンドバッグだけど……
俺も多少喧嘩はするが凪と付き合うようになってからは一人で居る時ですら凪が現れいたぶってしまうから俺は見ているだけ。中には顔の原形留めてない奴や手足が不自然な方に曲がっている奴もいて見てるだけなのにメッチャ痛い。ピクリともしないが死んでは…いない筈
「ん〜跳ねない。役に立たないねぇ君あははっ!」
「凪もう良いだろやりすぎだ」
気絶してる奴の頭をボールのように蹴って遊ぶ凪の名前を呼ぶ
早くこの場を去りたいし、これ以上は止めに入らないと殺人沙汰になりかねない。何時か俺の立ち位置がストッパーか飼い主に変更されんじゃねぇの
「アハッ……奏太飽きたのぉ?ごめんごめんね時間掛かりすぎたよね」
「………いやそうじゃ無くて」
決して大きくはない俺の声に反応した凪はピタリと蹴るのを止め近寄ってくると、俺が怒っていると勝手に勘違いしたのか泣きながらある筈の無い耳と尻尾を垂らす
おいおいさっきまでの狂気ドコ行ったんだよ!?
顔や服のいたる所に付いてる血がベソベソ泣いてる凪とあまりにも不釣り合いで背後さえ気にしなければ凪が怪我して泣いてるようにしか見えない
「ったく俺怒ってないから泣くな。凪は怪我してないのか?」
「怪我してないよぉ」
頭を撫でてやるとアッサリ泣き止んだ凪がクルクル回りながら無傷な事をアピールしてくる
図体デカイくせに回るな!踏みつけられた不良の体からゴキッて音したぞ!?
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