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□会いたい。側にいて
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人生初のラブレター
相手は同じ男でその上知らない奴は居ないという不良
手紙を入れている所を見た時は死を覚悟した程だが話してみると小動物のように可愛く友達から始めるこの関係に不満は無い(自分で言ったことだし)
俺達は俺達でゆっくり進んでいけばいいと思う
だけどさ………
「いい加減姿くらい見せてくれても良いじゃないかぁぁ!!」
「健人少しは声抑えろよー」
「うぐ………せめて慰めてくれよ」
文通を始めてから早一週間。俺は一度も鈴沢の姿を見ていない。毎日朝登校すると下駄箱に手紙があるから学校には居ると思うんだけど一度も会うことが無い
羨ましい事に榊は何度か鈴沢を見かけたらしく何処に居たと聞くのに……何故か俺には姿を見せてはくれない
友達からならお互いの事も知っていけるし慣れてく練習になると思ったけどこれは予想外だ!毎日の手紙と恥じらう鈴沢の姿想像して耐えてたけど一週間も会えないのは俺辛いよ
「イケメン不良の恥じらいが可愛いか?」
「鈴沢だから可愛いんだ」
榊には一生知る必要のない事だがな
「それより…どうしよ」
「まぁまぁ落ち込むなって鈴沢も慣れたらいずれ顔出すんじゃね?」
「いずれじゃなく今会いたい」
放課後の教室で朝貰った手紙を握りしめながら机に顔を埋め絶望していると、前の席で面倒臭そうに携帯を弄りながら話を聞いていた榊の手が頭に乗っかる
ポンポンと子供をあやすような撫で方に不満はあるが榊なりに慰めてくれてるのだろうと思い自然と嬉しく「イジける健人はメンドクせぇな」…………なってない嬉しくなってない
「あぁーあ。立ち直れねぇ明日から学校も来れないかも」
嘘だけど。鈴沢からの手紙受け取る為に意地でも学校来るけどね!榊の反応にイラッときたから一応ショックを受けましたアピールをしてみる
少しは気にしてくれたかと思いチラリと目線を上にあげると携帯を弄り続ける榊が見えるだけ
「うぅぅ馬鹿榊!本当に拗ねてやる」
「はいはい拗ねんな拗ねんな。見付けたぞ」
頭に乗ったままだった榊の手を振り払い怒る俺に対し笑いながら軽く流した榊が携帯を仕舞い席を立つ
見付けたってどうせエロ画像か動画だろ。幼馴染みの相談中にもポチポチ探すほど必死だったんですよねーだ
「エロ動画探すなら聞かずに帰るわ。ホラ行くぞ」
「はっ!?ちょっ何だよ何処行くんだよ」
突然腕を引かれたかと思えばニヤリとした笑みを浮かべた榊に連れられ廊下に出る
何処に行くんだと聞いても秘密と返ってくるだけで答える気は無いと分かり早々に諦めて榊についていく
俺にも榊の心の声を読む力があれば良いのに………
「言っとくけど俺心読める訳じゃ無いからな。健人が分かりやすいだけだよ」
「今のは読むなよ!!」
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