*佐久間と双子の少女の話*

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―帝国中学校入学式―




今日は帝国中の入学式だ。しかし校舎こそ変わりはすれども、大抵の奴等は小学校からエスカレーター式でそのまま上がって来る者が多い。いや、殆どがそうなんだが・・・。



よって入学式での校長先生や学年主任の先生方の有難い(なんて思ってる奴はいないが)お言葉に耳を傾ける者は殆どいない。
まぁ、かくいう俺・・・辺見渡もその内の1人なわけなので、他人の事をとやかく言えないのだが・・・。



退屈で仕方のない入学式も無事に終え、クラス発表の表を見に廊下に出る。
・・・やばい。佐久間と同じクラスだ・・・。
あいつとは昔から仲が良いような悪いようなで、しょっちゅう喧嘩している。
一口に喧嘩と言っても殴りあいをするとかそういうのではなくただ単に些細な口喧嘩が絶えないというわけで犬猿の仲とかそういうのではない。



強いて言うならそう"悪友"っていう奴だ。
まぁ、幼い頃から一緒に居たから幼馴染とも言えなくはないが俺らはお互いをそんな風には思ってなく、こんなのはただの腐れ縁だと言い張るぐらいだ。
よって幼馴染と言うよりは悪友の方がしっくりくるのだ。



ふと、そう言えば帝国中は確か3年生までクラスが持ち上がりだったなーと思いだし、クラス発表の表を見て"何で鬼道さんと同じクラスじゃないんだ"とぼやいているアイツと3年間も一緒に過ごさなくてはならない現実を受け止めないといけないことに気づいて、きっと散々な3年間になるだろうなと思い、小さくため息を吐いた。







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入学式からしばらく経ち俺らはサッカー部へと入部していた。
部活でも教室でも度々佐久間との口喧嘩は絶えないが、サッカー部で同じクラスの源田が何だかんだ言いながらも俺らを止めていてくれる。
源田は帝国中には珍しい外部からの入学者で中学から帝国に入った奴で、あいつの第一印象はデカイ奴だった。
それが今ではちょいちょいと色々世話を焼いてくれる。というか正直言うとあいつは、何なんだオカンかって突っ込みたくなるような奴だ。



佐久間と些細なことで言い合い、源田に絆される。そしてサッカーをする。
それが何時も通りの日常で俺も何だかんだ言ってそんな日常が結構楽しかったりする。
そんな日常がまさかあんなことになるとは考えもしなかった・・・。







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入学式から2週間ぐらい経ったある金曜日、返りのSHRで担任が爆弾発言をした・・・ってのは言い過ぎか・・・。



「えー、すごく突然なのですが、来週の月曜日からこのクラスに転校生が来ます。」



皆ポカーンとしていた。それはそうだ。なんて言っても時期が可笑しい。普通なら入学式に来いよと誰もが思っただろう。
それに何より帝国中はそこそこの頭じゃ入れない。しかも編入と言うなら尚更だ。
さらにこの学校の制度的に編入をしようと思う者は少ないのだ。多分そんな事する奴今までに居なかったんじゃないか?



まぁ、そんな事は俺には関係ないしさっさと部活に行きたかったので早くSHRを終わらせてくれないかなーとかそんなことしか考えていなかった。







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―月曜日、朝―



もう4月だというのに微かに残った寒さに顔を顰めながら登校する。
今日は珍しく朝練もなくゆっくりとした登校だ。



こんなにゆっくり家を出たのは何時ぶりだろうなどと考えていたら前方に佐久間が見えた。
流石に遠いな。ここから叫んでも聞こえないか・・・そう思いつつもできるだけ近づいてみようと早歩きになる。




・・・!?
可笑しい。何がおかしいって俺の目が、だ。
いや、あり得ない。そう思って何度も目を擦ったが目の前の現実は変わらない。



何で佐久間、スカート履いてんだ?
そう。目の前に見えるのは帝国の女子制服を着た佐久間だった。顔は見えないけど、あの淡い水色の髪に黒い眼帯(見えるのは紐部分だけだが)は俺が知っている中で悪友の佐久間次郎しかいない。
何故あんな恰好をしているんだ・・・。
もしかしたら何かの罰ゲームか、はたまたそういう趣m・・・ないない!それだけはない。



そんな事を考えている内に女子制服佐久間は見えなくなっていた。きっと学校に近づいてきたため見失ったんだろう。
後で確認してみようか・・・。











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*日常に変化が訪れた日








*なぁ、佐久間、何でさっき女子の制服着てたんだ?


*は?遂に頭まで可笑しくなったか辺見・・・。







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