*二度と会えない大好きだった少年の話*
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ヒロトが海外に留学すると決めた日からは準備やらなんやらで皆バタバタしていて、一緒にサッカーができる日が少なくなった。
でも、ヒロトにとっては夢に向かっての準備でもあるんだし、何よりヒロトのサッカーが今まで以上に凄くなるんだ。楽しみで仕方がなかった。
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そっか・・・ヒロトとはしばらく会えなくなるんだ・・・。
ようやくそんな事を考えるようになったのはヒロトが海外に行く数週間前の事だった。
ヒロトの部屋から物が少なくなり少し寂しいなと感じる頃ふと思い出した。
そう言えば、ヒロトミサンガとか付けてないよね・・・持ってないのかな・・・
いや、随分昔に何か聞いたような・・・。
まぁいっか。いや、うん。折角海外留学するのに送り出すときに何もあげないってのもどうなのよ・・・。
よし、買ってk・・・いや、作ってみるか。
お母さんに聞いてみたら裁縫用の箱の中に刺繍糸と布が沢山入っているから使って良いとのこと。
いや、布は使わないんだけどね。
でも正直言って助かった。何せお小遣いが残り少なくて・・・。
うん。サッカーした後ついついコンビニで買い食いするの良くないってわかってるんだけどなー。
これからは少し自重しよう。・・・少しね。
てか、ミサンガってどうやって作るの?私作ったことないんだけど・・・。
困った時は・・・とりあえずお母さんに相談だ。こういう女子力使うことはお母さんに聞くのが早い。
「てことでお母さん。ミサンガの作り方教えて下さいな♪」
「良いけど・・・花梨が作るの?」
「もちろん!」
「花梨が作るんだったら1か月くらいかかるんじゃないかしら?・・・それ以上?」
「・・・え?」
うん。1か月も掛かるんじゃ間に合わn・・・ってお母さん私のことどんだけ不器用だと思ってるのさって言ってやりたかったけど言えない。不器用はホントの事だもの。
一応どんな風に作るのか気になったので見せてもらったら・・・うん。確かに私じゃ1か月掛かるなー。いや、1か月かけても完成しないかも・・・。
あーもーどうして私にはこんなにも女子力がないんだー!
ってごろんごろんしてる私を見かねたお母さんがある提案をしてくれた。
「花梨でも簡単なお守りとかなら作れるんじゃないかしら・・・?布も沢山あることだし。」
お守り!それだ!!
お母さんに隣で作ってもらいながら見よう見まねで作ってみる。
チクっあいたチクっあいた・・・何度繰り返しただろう・・・。
何日もかけて作った。お母さんは何個作ってるのか分からないほど作ってくれたが私はなかなか進まなかった。
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私の手の絆創膏がとてつもない勢いで増えてゆき、そろそろ皮膚が覗く面積がなくなるのではないかと心配になってくる頃、ようやくお守りは完成した。
ソレはお守りと呼べるものとはほど遠く・・・でも言われてみれば分からないこともないと思えなくもなくもないような気がしないでもない。
完成したソレはヒロトの綺麗な髪と同じワインレッド色の布にエメラルドの糸で四ツ葉の刺繍(のつもりだが良く分からないもの)がしてあり、その四ツ葉と同じ色の紐が付いている。
お母さんの助言で中にはヒロトに宛てた手紙を入れることにした。手紙を小さく折り中にいれ紐で封をする。
これで本当に完成だ。
ヒロトは喜んでくれるだろうか・・・。いや無理か・・・これじゃあなーともやもやしていたが折角作ったんだから捨てるのはもったいないと決め込んで渡すことにした。
*狽ヌうしたのその手!?
*盛大にずっこけた♪
*あぁ、花梨はお転婆だからねー・・・。
*(あ、これで信じちゃうんだ・・・・。)
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*彼と別れるまであと何時間?
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