*二度と会えない大好きだった少年の話*

□-バレンタイン2013*No.1-
1ページ/1ページ




*Valentine







世間では毎年この時期になるとバレンタインの話題で賑う。
テレビを付けても学校に行ってもバレンタインの話ばかりだ。
やれ誰にチョコをあげるだのあげないだの・・・。
今年は手作りにしようと思うのーとか絶対先輩にはあげなきゃ・・・受け取ってくれるかな・・・とか?





私は毎年特に何をしていた訳ではないけど、今年ぐらいは何かあげてみようかななんて考えてりして。
まぁ特に意味はないんだけど。ホントなんとなくって感じ。





あげる相手は勿論ヒロト。あーあと瞳子ちゃんにもあげたいなー。
思い立ったが吉日、と言うではないか。
早速私はチョコ作りの材料の買い出しに出かけた。








□■□■□■□■□■□■








―ボフン―







幾度目かの爆発音が鳴った。
キッチンは黒い煙と焦げ臭い異臭に包まれ、まるで異世界の様だった。





・・・はぁ・・・
何度目になるだろうか、数えるのも億劫になり始める程吐いた溜息が再度漏れる。





私はどれほどの食材を犠牲にすれば気が済むのだろうか・・・。
そう思わずにはいられないほど酷い状態。
既に何枚か分からないほどのチョコレートにさよならを告げてきていた。





なんでこんなにも上手くいかないかな・・・。
まぁ昔から私に料理のセンスがない(というのはまだ控えめの表現である)のは分かっていたがもはやここまでとは誰も思わないだろう。
私自身ですらもう少しまともな物が作れると思っていたのだから・・・。





よし、諦めも肝心ってよく言うじゃないか。
てかこんなことになるならもっと早い段階で諦めてれば良かった・・・。
チョコさんごめんなさい。





そもそもなんで私は手作りにこんなにこだわっていたんだか。
我ながら本当に酷い出来の今では何だかよく分からない物体・・・元チョコレートさん達には本当に申し訳ないがバイバイして、元より作られている物を買ってこよう。





そう思い、私はデパートへと向かった。









□■□■□■□■□■□■









*あそこまで原形を留めていないチョコなんて初めてみたわ・・・



*ただ溶かしただけなのに・・・







.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ