*お日さま園出身の少女の話*

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お父さんがソファーに座って新聞を読みお母さんが台所で夕食の準備をする。トントンという一定のリズムの中にバサリと新聞をめくる音が聞こえてくる。
いつもと何ら変わらない光景。
いきなりご飯を作っていたお母さんが此方に歩いてきた。
何をするのだろうと眺めていると突然お父さんが真っ赤なお花を咲かせた。とても綺麗な赤色の。
何事かと思っていたらお母さんが私に話しかけた。
「*****」
そしてお母さんも真っ赤なお花を咲かせたんだ。
お部屋の中は沢山の赤で溢れかえった。
一度見たら一生忘れられないような素敵な光景。




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ガバリと効果音が付きそうなくらいの勢いで飛び起きた。クラスの皆がわいわい騒いでいるのを見るとどうやら今は休み時間のようだ。
私はどの位寝ていたのだろう。
何かとても懐かしい夢を見ていたようなそんな気がした。
もう既にどんな夢を見ていたのなんて忘れてしまったが…。






「おはよう。と言っても、もうお昼休みだけど。」






肩まで伸びたふわふわとしてるとても柔らかそうな髪を揺らし苦笑いを浮かべている美形男子な幼馴染・・・拓人が私に話しかけた。
寝起きで未だにうとうとしてた私はいきなり話しかけられ少し驚きつつも返事を返した。





「おはよー。授業終わってたなら起こしてくれればよかったのに。」





少し不貞腐れたように言えば拓人の隣にいた、これまた美形の幼馴染な蘭丸が拓人の変わりというように口を出した。





「いや、だって神童が"紫音も疲れているんだろうからしばらく寝かせといてあげよう"って言ったからさ。しばらく放置してみた。」






いや、放置って…物じゃないんだからと思いつつも私の事を気遣ってくれた2人に感謝した。
最近どうも寝不足でついつい授業中に寝てしまうのだ。
まあホーリーロードも無事終わったし拓人も無事退院したわけで気が抜けているんだと思う。






昼休みの時間はまだまだ十分に残っていたので、拓人と蘭丸と今日の練習メニューの内容を相談しあったりサッカー雑誌の話をしたりと適度に雑談したりしながらお昼御飯を食べた。






2人といる時間はとても楽しいし何より一緒にいて苦がないというか楽というか。
2人は小学校からの幼馴染だし、それこそ昔は色々とくだらないことで喧嘩したこともあったけど今となっては何でも相談できる最高の親友と胸を張って言える仲だ。
何時までも一緒に居たいと思うし何時までもこうして笑ってられる時間が続けばいいなと考えていた。








そんな事を考えている内に昼休みは終わり午後の授業が始まる。
あと2時間分の授業が終われば待ちに待った部活の時間となる。
ホーリーロードが無事に終わった今、皆は肩の荷が下りたように活き活きとしていて、いつも以上に楽しそうにサッカーをしている。
去年の私たちでは予想すら出来なかっただろう。いや寧ろこうなればいいのにと皆が夢見たことだと思う。
皆が何事にも囚われず自由にサッカーができる最高な環境。
ずっと夢見てきたことが現実になった今早くサッカーがしたくて堪らなかった。





とは言っても私がサッカーをするわけではないのだけれど。
私はマネージャーとして皆がサッカーをするのを支えていきたいと思っている。
もちろん皆が楽しそうにサッカーをするのを見ているのも好きだ。
だから授業が終わり部活の時間になるのを今か今かと待っているのだ。





そんな事を考えていたはずがいつの間にかまた寝てしまっていたらしく、授業が終わったと蘭丸に起こされ3人で部室へと向かった。








さあ、今日も楽しい部活が始まる。










*こんな平和な日々がいつまでも続きますように・・・









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