*お日さま園出身の少女の話*
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笑っている女の人と男の人が見える。2人とも私に笑いかけてくれている。
けれど次第に笑顔が嘘っぽく見えてきた。
きっと目の錯覚だ・・・
そう思い込みたいのは山々だけれども段々と2人から笑顔が消えていく。
徐々に私を見る目が怖くなってくる。
そして・・・・
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「・・・さん・・・」
「・・・浅葱さん!浅葱先輩!!」
誰かに呼ばれている気がする・・・。
「もう!紫音姉さん、いい加減に起きて下さいよ!!」
「ぅわ!!マサキか・・・びっくりした・・・。」
流石に耳元で叫ばれて飛び起きた。
どうやら部活後にマサキが着替えるのを待ちつつまた居眠りしてしまったみたいだ。
てか私寝過ぎじゃない?
「もー、明日休みだから一緒にお日さま園にお泊りに行こうって言ったの紫音姉じゃなかったですか?」
「ごめんごめん。つい寝ちゃった」
てへぺろってやってあげたら、何ですかそれ、可愛くないですって言ってそっぽ向かれちゃった。
いやまあ分かってるんだけどさ。
「それより、こんなにのんびりしてて良いんですか?早くしないとバスも電車もめっちゃ混みますよ?」
やばい、時計を見てみればもうすぐ7時、本格的にやばい。
「良くない!マサキ、走るよ!!」
私がそういえば、えーとか言いながらもマサキは走ってくれる。
ホントに弟みたいで可愛い。でもそんなこと本人に言えばつっけんどんに返されるんだけど。そんなツンデレなとこも含めて可愛いと思う。まあ少し生意気だけど。
一生懸命走ったのは良いが、結局は混み込みのバスと電車を乗り継ぐ事になってしまった。
でも、去年まではマサキとこうして一緒にお日さま園に帰るなんてこと想像も出来なかったなー。
去年は本当に部活はぎくしゃくしていたし、というか何よりマサキが雷門中に転校してくるなんて夢にも思ってなかった。
あの時、マサキも私が雷門中に通ってることは知ってたけど、サッカー部のマネージャーしてることは言ってなかったから、すごく驚いてたっけ。
懐かしいな。
そんな事を考えていたらお日さま園はもうすぐそこだった。
流石にあんなに混雑していたバスや電車の中では寝なかった。
そりゃそうか。立ちながら寝れないしなー。
「何ぼーっとしてるんすか。早くしないと置いて行っちゃいますよ?」
いつの間にか随分前を歩いているマサキに急かされた。
お日さま園に行くのは1週間ぶりだ。
今のお父さんとお母さんは土日、休日は忙しい人達だからね。
まあ、今の両親の話はまた今度。
だから土日とか休みの日はお日さま園に行くと決めていた。
丁度今週の土日は部活もなくなったのでマサキも一緒にお日さま園に帰ることにしたんだ。
お日さま園はいつも温かくて、私にとって大切な場所だから早く帰りたくて仕方がない。
今夜のご飯は何だろうとか、お日さま園に着いたら何をしようとかくだらない事をマサキと話しながら私たちはお日さま園に向かった。
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