*お日さま園出身の少女の話*
□*狩屋君がサッカー部に入部してくる少し前の話A*
1ページ/1ページ
―――――――――――――――
――――――――――――
ピンクとグレーが混ざり合って溶けていく。
それは一つの鎖になって私の首に巻きついた。
鎖は段々と強く締まっていって・・・
そして・・・・
□■□■□■□■□■□■
ガバリとすごい勢いで起き上がった・・・気分だったんだけど、実際は体が重くて1ミリたりとも動けないでいた。
何かとてつもなく怖い夢を見ていたような・・・。まあいいか。
ぼーっとする頭で考えた。私はあれからどれだけ寝てたんだろう。また1日以上寝てましたとかだったら洒落にならない。
いや流石にそれはないかと思いつつ枕もとにあるはずの時計に手を伸ばした。
ん?なにかベッドの上に落ちた?
何かと思い目を向けるとタオルだった。しかも冷たい。
なんでこんなものここにあるんだろう。良く考えると私の額から落ちたような気がした。
自分でこんなことしたっけ?いやそんなはずはない。じゃあなんで・・・
必死に思考を巡らせていた為、私は誰かが部屋に入ってきたのに気付かなかった。
「あれ、紫音起きたのか。もう大丈夫なのか?」
「ぅひゃぁ!?・・・え?蘭丸?」
ちょっと!急に話しかけるから驚いて変な声出たじゃない。ってそんな事よりなんで蘭丸が私の部屋にいるの?
「あぁ、これ夢か。そうだよね、蘭丸がここに居るはずないもんね。最近変な夢ばかり見る気がするなー。」
「おい。勝手に夢にするな。」
「狽「て!?」
いや、冗談だったんだけど。2割くらいは。てかチョップするなし。一応病人なんだけど・・・地味に頭がジンジンする。
「そういえば紫音、お前何か食った?」
そういえば結局一昨日の夜ごはんの後何も食べていないような気がする。
いや気がするのではなく実際そうなのだが・・・。
黙り込んだ私を見て蘭丸は大げさなほど大きなため息を吐いた。
「お前なー・・・。まあそんな事だろうと思ったけど・・・。んで、何時から食べてないんだ?」
「・・・から・・・。」
「・・・え?」
「だから、一昨日の夜ごはん食べてから何も食べてない。」
「・・・。」
「いったー・・・。だからチョップしないでよ。」
無言で繰り出されたチョップに反応しきれなくて、また頭で受けてしまった。
だからこれ、地味に痛いんだって。
脳細胞が死んだらどうしてくれるのさ。
「いや、ごめん。流石にそんなに酷いとは思わなかったからさ・・・。」
「んー、別にいいけどさー。」
「とりあえず、今神童がお粥作ってくれてるから。後でちゃんと食えよ?」
「・・・はーい。」
返事はしたものの食欲がない。一昨日の晩御飯以降何も口にしていないのにも関わらず食欲がない。
風邪引いてる時ってこんなもんだっけ。
ってか、拓人料理できるんだ・・・。
蘭丸は料理できなそうだなー。見た目に反し大雑把だし・・・。
思ってはみる物の口には出さない。というか出せない。
「まだお粥できるまで時間かかると思うから、もうちょい寝とけ。」
蘭丸はゆっくりと私をベッドに寝かせた。
私は子供かって・・・。
流石に寝過ぎた訳だから眠れるはずがない。
と言いたいところだけれども、風邪に侵された体はまだ休養を欲しているらしく、布団に潜ってから眠りにつくまでそんなに時間はかからなかった。
意識が遠退く寸前に額に何かが触れた気がしたような・・・。
.