*お日さま園出身の少女の話*

□*狩屋君がサッカー部に入部してくる少し前の話B*
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ピンクとグレーの鳥が仲良く飛び回っている。



そしてそれを見つめるアッシュブルーの猫が1匹。



桃色の鳥にちょっかいを出しては見る物の飛んでいる鳥に届くはずがなく・・・



2羽の鳥は猫の手の届かない所に飛んでいく。



遠く遠く飛んでいく鳥たちを追ってみても追いつけるはずがなく・・・


1匹で残された猫は暗くて深い闇に呑まれてゆく・・・






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誰かが何か叫んでいる。
誰かを呼んでいるのだろうか・・・。




頭がぼーとする。まるで霞がかかっているようだ。
それに何だか苦しい。息がしずらいような・・・




「・・・紫音!紫音!!」




揺さぶられて目が覚めた。
突然の事に驚き眼を見開けばとても綺麗な顔を、これでもかというほど歪めて心配している2人の幼馴染の顔が見えた。




「紫音、大丈夫か?」




心配そうな顔を崩すことなく拓人が言った。




「・・・え・・・?私・・・何か言ってた?」




もしかしたらとんでもない寝言でも言っていたのではないかと思って2人に訪ねた。
もしそうならばはずか死ねる・・・。




「いや、ずっと魘されてと心配してたら、いきなり静かになって、どうしたのかと思ったらなんか息してなくて・・・。」




蘭丸の言葉を聞いて、あぁだから息苦しかったのか、と妙に納得した。
そりゃ息苦しよね、息してなかったんだから・・・。




「心配してくれてありがとう。もう大丈夫だから・・・。」




未だに心配そうな顔をしていた2人(拓人に至っては涙目だ)にそう言うと、ようやく安心したように笑顔になった。




「よかった。・・・あ、お粥できたんだが食べられそうか?」




拓人が机の上に置いてあったお粥を引き寄せながら言った。
さっきまでは食欲なんてなかったのだけど、お粥の良い匂いがして、途端にお腹が空いてきた。




「ありがとう。いただきます。」





拓人が作ってくれたお粥は今まで食べたどんな物よりも美味しくて、なんだか優しい味がした。
それを拓人に伝えたら、ぼふんって効果音が出そうなくらい一気に真っ赤になり、隣にいた蘭丸に肘で小突かれていた。




その後もなんだかんだと世話を焼いてくれた2人には本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。
今まで風邪を引いてもこんなに良くしてもらったことはなかったからなー。




2人は明日の朝ごはんまで作って帰っていった。
今日はゆっくり寝て明日こそは学校に行かなくては・・・。
って流石に寝過ぎな気もするけど。





私はそんな事を思いながらもまた眠りについたんだ。





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