*お日さま園出身の少女の話*

□-バレンタイン2013*No.3-
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-バレンタイン当日-







待ちに待ったバレンタインデー





吹き付ける風はやっぱり冷たく寒い印象を与えるが





今日の空はこれでもかと言うほど透きとおり





何処までも続くような・・・そんな空だった・・・









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朝一番に皆へのプレゼントをしっかりとバックに詰めて電車に乗り込む。
流石に休日ということもあり電車内は空いていた。





今日は部活が午後からなので午前中にお日さま園に行って午後から部活に行く予定だ。
ゆっくりと景色が流れるのを眺めていたら段々と眠くなってきていつの間にかこくりこくりと船を漕ぎ始めていた。





電車内のアナウンスで目を覚まし慌てて下車の準備をする。
電車を降りバスに乗り換えお日さま園に向かう。
やはりバスも電車と同様に空いていて人気がなかった。





バスに乗ってもついついうとうとしてしまうのに焦りガムを噛んで眠気を覚ます。
流石に朝が早いせいか気を抜くとつい睡魔に襲われてしまう。





こうなるならマサキを見習って金曜の内にお日さま園に泊りにいけばよかったかな・・・。
でも皆にお花を用意しているのだからそれを今日まで隠しきれる自信がなかったのだから仕方がない。





そうそう考えている間にバスは目的地の名称を告げる。
我ながら随分と大荷物だなと思いながらも皆への気持ちを詰め込んだプレゼントが入っているバックを抱え直しバスを後にした。








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お日さま園につく外で遊んでいた子達が私を見つけて飛びついてくる。
これは毎度のことだし可愛いから私もうれしいのだが何せ今日は荷物が多かった為バランスを保てなかった。
段々と後ろに重心が傾いて転ぶと思いぎゅっと目を閉じ次に来るべき衝撃に耐えようと思ったが何故か痛くない。何の衝撃も受けなかった。





「紫音姉さん、こんなとこでなにしてんですか。」





そろりと目を開けて振り返ってみれば私を支えてくれていたマサキと目が合った。
マサキは半分笑いながら文句を言うと私のバックを持ち"ヒロトさん達お待ちかねですよ"と言いお日さま園の中に向かって行った。





そんなマサキを見て、外で遊んでいた子達が"マサキ兄ちゃんかっこいいー!!"と騒ぐのに"うっさい!お前らも早く中入れって・・・"なんて照れて返すマサキに"マサキありがとー!かっこいいよー!"と声を掛ければ"紫音姉も早く入って下さいってば!"とさらに顔を赤くして叫ぶんだ。





可愛い弟だと思っていたが案外頼りがいのある子に育っていて少しびっくりしたようなしないような・・・。








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お日さま園に入りマサキからバックを受け取り中から梔の花束を取りだし適当な花瓶に活ける。
すると女の子が寄ってきて私に問う。





「紫音ねえちゃん、このお花どうしたのー?」





こてんと首をかしげて質問してくる子に可愛いなと思いながらも答える。






「皆の為に買って来たのよ。」



「ホント?うれしい!ねぇねぇこれなんて言うお花?」



「梔っていうのよ。」



「へーそうなんだ。かわいいねー。」






可愛いのはあなたでしょうと言いたけた言葉を飲み込み、その子を連れ皆がいるリビングへと向かった。








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*紫音姉さん何でこのバックこんなに重いの・・・?



*私の気持が沢山詰まってるからよ♪



*はぁ?



*あ、それ振っちゃ駄目だからね!



*・・・はぁ・・・。







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