*お日さま園出身の少女の話*

□-バレンタイン2013*No.4-
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リビングの方から沢山の人の話し声が聞こえる



その声を聞いた少女達はリビングへ向かう足を速めた



温かい空間に着くまであと・・・










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リビングに着くと子供たちはもちろんヒロトさんや瞳子姉さんたちも揃っていてなんだか少し嬉しくなった。





私が家から持ってきたホールケーキを取りだすと子供たちはキラキラした目でそれを見つめた。
マサキは"あーだからあんなに大荷物だったのか・・・"と一人で納得したような顔をしていた。
ケーキを切り分けているとどこからともなく美味しそうという声が聞こえてきて皆待ちきれない様子でケーキを切る手を見つめていた。





その後皆に切ったケーキを配り皆で食べた。
そのケーキは皆で食べるということもありとても美味しく感じた。
皆おいしいおいしいと言いながら食べてくれたので作ってきて本当に良かったななんて思いながらも自分の皿に乗ったケーキを食べきった。





子供たちは食べきるとお皿を片した後に皆それぞれ思うがままに過ごしていた。
外に出て食後の運動と称しサッカーをする子、部屋で本を読む子、おままごとをする子などホントにそれぞれ。
マサキはと言うと外でサッカーするという子たちに拉致されて連れて行かれた。
少し昔のマサキなら何より一人でいることを好んだのに小さい子供たちの世話を焼いているところを見ると成長したんだなんて思いほっこりとしてしまう。





大人組みは皆のお皿を洗ったり片付けしたりとしていたので良い機会かなと思い片付けが終わったころを見計らってチョコマフィンとカンパニュラ(風鈴草)を配る。
それぞれ戸惑ったりほほ笑んだりと様々だったけど皆喜んでもらえたみたいで良かった。





そんなこんなでのんびりと過ごしていたら廊下の方からバタバタと走ってくる音が聞こえた。
何事かと思っていたらマサキが血相を変えて叫ぶように問いただした。





「紫音姉!!今何時!?」





問われて時計を見ながら現在の時刻を告げる。





「んー、12時35分ぐら・・・い・・・?」





そう言った私とそれを聞いたマサキの顔からさーっと血の気が引いた。
部活ッテ何時カラダッケ・・・?





やばい。本格的にやばい。
今すぐここを出ても間に合うかどうか・・・。





その後は言わずもがな高速いやもう音速の如く素早い手つきで荷物を詰め学校に向かおうとした。
すると瞳子姉さんが呑気に"あら、お昼ごはんはー?"等と言っていたがそんな余裕は勿論ない。
適当に済ますからと返事をすれば、じゃあと昨夜の晩御飯の詰め合わせ的な物を作ってくれた。
それをありがたく受取り鞄に詰め、おひさま園を後にした。








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バスと電車を乗り継いで学校へと向かう。
あぁ何で私は時間を気にしていなかったんだろう。
というより何で今日部活があることを忘れていたんだろうともんもんしていたら、どうやらマサキも同じようなことを考えていたらしくぶつぶつと"なんで、どうして"を繰り返していた。





正直、皆にプレゼントを渡せてよかったなーとか、皆喜んでくれてたし・・・なんて考えでいっぱいですっかり忘れていたのだ。
まぁ、こんなこともあるでしょうとか思っていたら、結構重要なことに気がついた。





あれ、私部活の準備してなくないですか?
はい。正直に言いましょう。何も用意してません。って言ってもマネジだからジャージがあればいいのだけれど。
本来なら早めに帰って家にジャージを取りに行く予定だった。
既に大荷物なのにこれ以上荷物を増やすものどうよと思いジャージを置いてきた今朝の私を今更ながらに恨む。





あーもうなんで金曜日にジャージ持って帰っちゃったんだろう。せめて置いておけばよかった・・・。
もういっそ今マサキが着ているジャージを剥ぎ取るか・・・なーんてね。
てか私、私服じゃん。ホントにどうしようもない。
遅刻覚悟で家に取りに行くかなんて考え込んでいてマサキが話しかけた事に気付かなかった。





「ちょっと!紫音姉さん聞いてます?」





「あ、ごめん。聞いてなかった。何?」





「もーだから、紫音姉さんちゃんとジャージ持ってきてるんですか?」





「いやね、うん。無い・・・です。」





「はぁー。そんなとこだろうと思いましたよ。」





正直に打ち明けるとマサキは溜息を吐きながらも言葉を続けた。





「学校に予備のジャージ置いてあるんでそれ着てください。」





「え?いいの?」





「まぁ、おいしいケーキ頂いたんで・・・。」





デレた!!マサキがデレたよヒロトさーん!!!
何この可愛い生き物!自分で言っておきながら照れるとか反則じゃないですか。
しかも最後の方ごにょごにょってなってたし。





と、まぁこんな感じで悶えていたらもうすぐ学校のある駅に着く。
私はマサキにお礼を述べて下車の準備を始めた。








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*紫音姉さん



*ん?何?



*俺、正直さっきケーキ食べたんで腹へってないんですけど・・・



*あ、やっぱり?実は私も・・・



*このお弁当どうしよう・・・










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