オリジナル

□Trick or Treat
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:10月29日 午後4時:

俺たち8人は、別荘のリビングに集まっていた。

カイ「今回の舞台はここ。」

モニターを映し出すと、博物館や美術館とは違う建物の画像があった。
……展覧会の会場っぽいな。

カイ「明日の夜、フランスの大富豪の展覧会が行われる。自分のコレクションを、知り合いや関係者に公開するらしい。」

リラ「ただ自慢したいだけでしょ。」

リラがモニターの資料をみながら、ため息をついていった。

ギル「1つ質問、前は博物館か美術館でごっそり頂くことになってただろ?なんで、急に大富豪のコレクションがターゲットになってんだよ?」

カイ「ああ、それはな、」

カイはそう言うと、いくつかの大富豪のコレクションだと思われる、宝石やら骨董品やらを映し出した。

カイ「これらのコレクションは全て、闇市や裏社会、悪質な取引で手に入れた物ばかりなんだ。中には偽物も混じっている。」

ミレ「お金持ちのやり方って、やっぱ気に入らないね〜。」

ライ「そういう物だから、俺らが盗んでやろうってわけ?」

カイ「そう。反則して手に入れてんだから、俺らがやってもいいだろってこと。」

ジレ「後で何も言い訳できないしね〜。」

ジレがニヤッと笑っていった。
やる気満々だな…。




今回の悪戯は、壮大な悪戯になる。

明日は10月30日、ハロウィンの日だ。
俺たち【ハロウィンの悪魔】は毎年この日に、8人全員総出動して、美術品などをごっそりと頂く。

その日は警備が強化するけど、そんなの関係ねぇよ。

カイ「場所は大富豪の別荘。で、メインはこれだ。」

カイがリングを数回押すと、立体映像が表れた。

カイ「直径10cm、18カラットの水入りクリスタル。中に霧があることから【霧の王冠】と呼ばれている。
あと、1.6カラットのルビーがうめこまれた短剣【フレイア】。この2つだな。」

ツキ「メインの2つは頂くとして、他の展示品はどうするの?」

カイ「もちろん頂くつもりさ。珍しい物ばかりだからな。」

エメラルドやサファイヤ、指輪や腕飾り。
結構あるな…。

ギル「やり方は?」

ギルがそう言うと、ニヤッと笑った。

カイ「正々堂々と真っ正面から勝負する。派手にやろうかと思ってな。」

ミレ「やっちゃっていいの?」

カイ「ああ、いいぜ。」

ミレ「やった♪」

派手に、つっても、王妃の指輪の時みたいにはならなかったらいいけどな…。

リク「今回はギルとライが中心で動く。2にんは主催者と警備の相手だ。あとの6人で援護と展示品を奪おう。
いざとなったら、カイの切り札を使うつもりだ。」

ライ「さっきの情報?」

カイ「そういうこと。」

まあ、あれだけの情報が警察の手にわたったら、大惨事だからな。
つか、どうやって調べたんだよ、カイのやつ。




リク「あぁそれと、毎年やっていることだから分かっているとは思うけど、『白』でいくからね。」

ギル「『白』ね…。【白き悪魔】の姿でやるの、久しぶりだな。」

ミレ「ちょっと動きにくいんだけどね、その時の服。」






【白】のこと【白き悪魔】
呼び方は【エヴィル】





これが俺たち8人の本当の姿だ。



正式には、能力者の集団としての呼ばれ方で、世代ごとに呼び方が違う。
俺たちは【第17世代 白き悪魔】と呼ばれている。

生徒会用の白い制服に、白いマント、白い目元だけの仮面が、白き悪魔の姿だ。

反対に、怪盗をしている時の【ハロウィンの悪魔】は【黒】ともいう。



ツキ「ライ、これ。」

ツキが俺の前においたのは、黒い革の腕輪。
ギルのやつに似ているよな。

ツキ「ギルの腕輪と同じ物よ。使い方はギルに教えてもらって。」

ライ「ああ。」

これを使えってことだよな…。
俺は右腕にそれをつけた。

ライ「よろしくな、ギル。」

ギル「徹底的にたたき込んでやるからな。」

ライ「手加減してくれよ。」

そう言って、コツンと拳をあてた。

リク「実行は明日の夜。楽しむんだよ、1年に1回の宴だからね。」

ニヤリと笑って、リクが言った。
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