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□【赤の姫\】
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凛華「出雲さーん。」
草薙「おお、来たか。入り。」
生徒会室には、出雲さんがパソコンを開いていて、片手に端末を持っていた。
アンナは赤いビー玉で、占いをしていた。
凛華「何?」
草薙「八田ちゃんから、連絡があったんやけどな、セプター4がお見えになったらしいでな。お前には、あんま関わらんようにって、伝えたくてな。」
ニコッと、アタシの方を見た。
凛華「……違うでしょ……。」
アタシは、出雲さんにしか聞こえないぐらいの声で言った。
草薙「さすがやな。」
そう言って、アタシとアンナ以外を、外にだした。
草薙「【赤の姫】の能力はどうや?」
単刀直入に聞いてきた。
やっぱり、そのことか……。
凛華「うん。自我は保てているよ。前よりも、能力が使いやすくなったし。」
草薙「特訓したかいがあったな。」
アタシの過去を、教えてもらった数日後。アタシは出雲さんと美咲に頼んで、【姫の能力】を使えるように、特訓してもらった。
草薙「凛華ならやると思ったわ。さすが、吠舞羅の姫。」
そういいながら、アタシの頭を撫でた。
すると、服の裾をクンッ、と引っ張る様な感覚があった。
アンナがビー玉をかざして、アタシを見ていた。
アンナ「綺麗な、赤。とっても鮮やか。」
凛華「……前の赤と今は、どう見えるの?」
アタシがそう聞くと、アンナは両手でアタシの手を、包みこんだ。
アンナ「リンカは、リンカ。今も、そう。」
どういう意味なのか、よく分からないけど、何となく、アタシは大丈夫ってことは、分かった。
凛華「じゃあアタシ、美咲のところに戻るね。」
アタシは走って、美咲のところに行った。
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そして、夜。雪が降ってきた。
草薙「ピィーー!!」
八田「なんすか?犬じゃないんすから、そんな呼び方しなくても……。」
草薙「犬やなくて、カラスやろ。でも、呼べばくる。」
出雲さんが屋上に上がってきた。
草薙「凛華は?」
凛華「いるよ。」
二人とも、アタシがいる方を振り向いた。
草薙「それも、【姫の能力】か?」
凛華「の、応用的な?」
アタシは両足に、蝶の羽を思わせるような炎をまとい、空中に浮いていた。
そっと、屋上におりたつと脚に纏っていた炎が消えた。
草薙「で、今のところはどうなんや?」
八田「今のところ、怪しいもんはないっす。ただ、こっから逃げようとしたバカが何人かいたけど、全部放りこみました。島の向こうは、青服が完璧に囲んでいるらしいっすね…。」
草薙「攻められたら、今度こそ全面戦争やな。」
八田「当然っすよ!早く暴れてぇ…。」
アタシは手に止まった、赤い蝶を見つめていた。
紺色に染められた空に、白い小さな雪がおちてきて、赤い鮮やかな炎の蝶が飛んでいる…。
とても、綺麗だった。
でも……、嫌な感じ……。
アタシの能力で生みだした炎の蝶が、孤独に感じた。
ふと、下界を見たとき、あるものが目に入った。
草薙「そんで、お前には見逃して貰いたいもんがある。」
その言葉につられて、アタシは振り向いた。
出雲さんは小声で、美咲に話しているようだ。
草薙「さて、凛華、ちょっと来いや。」
凛華「どこ行くの?」
アタシがそう聞くと、出雲さんはフッと笑って
草薙「王様にご挨拶や。」
と、いった。