K T
□ノイズ
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CPは主に美←猿です。
中学生猿比古の親が仲良くなくていっつも喧嘩してるっていう勝手な設定。
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「そんなことする暇があるなら仕事しなさいよ!!」
「俺だってこんなところいたくねぇよ!!」
毎日のように家ではこうやって喧嘩がある。
食事中に喧嘩が起こったので、部屋に戻るタイミングを見失い、俺はリビングの端のほうでその光景を見ていた。
(馬鹿みてぇ。さっさと別れちまえばいいのに)
こんだけ喧嘩をしておいて二人は別れる気はないらしい。
まぁ、一方的に母の金銭的な問題だろう。
「もとはと言えば猿比古!あんたが悪いのよ!」
あぁ、怒りの矛先がこっちに向いてきた。
「あんたのせいで!」
母が俺に手をあげる。
思いっきり殴られたのでその勢いで横に倒れる。
倒れた俺を母親は蹴り続ける。
もうこの痛みも馴れた。
馴れていい痛みなのかはわからないが、こんな身体的な痛みよりもなぜか心が痛む。
(もう嫌だ、こんな生活)
数分して気が済んだのか、リビングから出ていく母。
父はもっと前に外に出ていて、リビングで一人残った。
「なんなんだよ……」
頭に雑音が鳴り響く。
―お前は誰にも必要とされていない―
―お前なんかいなくてもだれも困らない―
―存在自体が迷惑だ―
雑音共にそんな声が聞こえる。
もういっそ死んでしまったほうが楽なのではないか。
そんな事を思い始めたころ、ポケットに入れていた端末が振動した。
「もしもし」
―おー、猿比古?今暇か?ゲーセン行こうぜ!―
「ああ」
自然と口角が上がるのを感じた。
俺を必要としてくれる馬鹿が一人だけいた。
それでもきっとあいつは今隣にいるのが俺なだけであってきっと誰もいいんだろう。
少しだけ雑音が収まった気がした。
きっと将来、彼奴のとなりにいるのは俺じゃないんだろう。
それでも今、唯一安心できるところに行くために、財布を握り、家を出た。
end
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あとがき