夏目友人帳
□6話
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森が変わったわけじゃない。
周りの風景は一変して同じだ。
…それなのに雰囲気はさっきとは全く違う。
なんだろう…この肌にまとわりつくような空気と気持ち悪さ…。
それに…
「貴志の妖力も反応してるみたいだね。ここは妖の世だから、妖力も少し上がる。簡単に言ったら、素質はあるが見えない人間がここにくれば見えるように、もともと妖力のある人間がここへ来れば妖力が増幅されるの」
「じゃあ、瑞樹の妖力も上がるのか?」
「まぁ、一応ね。でも完全な妖怪じゃないから、多少しか上がらないけど」
「そうか…。ところで、ニャンコ先生はどこにいるんだ?」
キョロキョロと辺りを見回すが、ニャンコ先生らしき影は見当たらない。
「あぁ、斑ならおそらく貴志についていたあの黒い影の正体の元へ向かってるんじゃないかな?おそらくあの黒い影…中級の集まりの誰かが飛ばしたやつだろうしね」
「ニャンコ先生、正体を知ってたのか?」
「いや、私が貴志の記憶を探ってた時にその黒いやつを送ってた妖がいたから、斑にそいつの映像を直接脳に送ったの。だから、たぶんその妖怪のところじゃないかなって私は思うんだけど…」
確信は出来なかったから妖力を追ってたんだけど、やっぱりか…なんて呟く瑞樹。
「先生…俺のために…」
ってことは、いきなり飛び出して行ったのはその映像が送られてきて正体が分かったからか。
…妖の映像をニャンコ先生に送ったってことは瑞樹は黒い影を飛ばしてる妖がわかったってことだよな?
「貴志、後ろ!」