なると
□いつかきっと:サスケ
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「っ…の、ちょこまかと…!」
「ほらほら、こっち♪」
夏の昼下がり、授業の終わったアカデミーのグラウンドにひかれた一つの円の中で、少女と少年が組手をしていた。
円とは、主に授業で使われる組手用の円で、どちらかが円の外へ出るか膝をつけば勝敗が決まるというものである。
ドカッ
「ッ…」
授業後、サスケはほぼ毎日のように嗄月へ勝負を挑んでいた。
おそらくは嗄月が転校してきた初日にこの円を使った授業で負けたのがよほど悔しかったのだろう。
一方嗄月は、こうやって自分を名指しで呼び出し戦いを申し込んでくるサスケがかわいく思えて仕方なく、ほぼ遊び感覚でやっている。
「クソ…ッ」
隙を見て入れられた嗄月の蹴りで、何度目か分からないサスケの負けが決まる。
円の外へ蹴りだされたサスケはスッと立ち上がると、すでに今回の反省点を探っているようだ。
嗄月はそんなサスケへ「お疲れ様ぁ〜」といつもの調子いで言いい、多少は長かったであろう勝負に息一つ切らさず、にっこりと笑う。
まあ、S級犯罪者に指定されている暁のメンバーなのだから当たり前だ。
実際サスケと戦っているときも実力の2割も出していないだろう。
「サスケも強くなってきたんじゃない?」
「…お世辞ならいい」
「違うってばー。ほら、最近僕と戦う時間長くなったでしょ?初日より」
嗄月のほめ言葉を、眉にしわを寄せて聞き流すサスケに、嗄月は「ね?」と小首をかしげて見せる。