とりこ

□4話
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なんだかんだでヘリを飛ばし、グルメタウンの入り口に付いた私たち。
そういえば…

「私のグルメID…」

そういえば貰ってないんじゃない?

「あ、それならウチ預かってるし!飛ぶ前にヨハネスが持ってきたし」

はい、と渡されるグルメIDのカード。
…小松君のと色が異なるってか、トリコさんのと一緒じゃないか…?
そういえば、サニーやリンちゃんも私と同じ色だ。
一般とIGOに属してる人はIDカードの色とか違うのかな?

「―にしてんだし、ミズキ」

ふと顔をあげれば、すでに中に入ってるサニーやリンちゃんと目が合う。
どうやら思いふけっている間に中に入ったようだ。
急いでグルメIDを機械に通し、二人の元へ駆け寄る。

「ココがグルメタウン…。すごい人だかり…」

たくさんの人が食べ歩きをしたり、ショッピングを楽しんでいる。

「あ、この店いい感じだし!」

入ってすぐに目ぼしい店を見つけ、私の腕をぐいぐいと引っ張って店の中へ駆け込むリンちゃん。
ホント元気だなぁ…。
サニーは慣れた様子で私たちの後ろから入店すると、店のなかをぐるぐると徘徊し始めた。

「あ、この服かわいい…」

入店してすぐ私の目に留まったのは白いマキシ丈のノースリーブワンピース。
シンプルで落ち着いた雰囲気だ。
上に羽織るジーパン生地の七分丈のやつもかわいいし、ラフな時に着たらいい感じかも…。

「シンプルでかわいいし!ミズキちゃんが気に入ったならそれ買うし!その服だと、こんな靴とかいいし」

少し先にある靴のコーナーからリンちゃんが持ってきたのは茶色の編み上げで少し厚底の靴。
足首にベルトのような金具がついていて、側面にあるリボンの飾りがかわいい。

「ワンポイントだし、この服に似合いそうだね!」

キャッキャとはしゃいでいる私の目にふと異様な光景が見えた。

「ミズキ、―れ試着するし」

「ちょっ…!量おおっ!!」

店を徘徊し終わったサニーが戻ってきたと思ったら、触角でたくさんの服や靴を持っていた。
おそらくフルコーディネートで5〜6着分ほどだろうか。
中には短パンに肩だしTシャツでアームのついた戦闘向けの動きやすそうな服まであった。
こんな服どこにあったんだろ…。
まぁ、広い店内だ、いろいろなジャンルがあるんだろうな…。
とりあえず言われるがままに服を着替え、計6着分の着せ替え人形となった。
途中、サニーがあれが悪いこれは似合うがバランスが―つくしくねぇ…。など呟きながらコーディネートされた服をチェンジしつつなんとか購入する服が決まった…のはいいのだが…。

「まだ一店舗目!ねぇ!5着も悪いよ…!」

そう。
始めの服も兼ねて5着…一店舗目だというのに買おうとするサニー。
せめて一着とか!と訴えるも聞く耳持たずで、さっさと会計を済ましてしまった。
リンちゃんからもなんとか言ってもらうように言ったが、あっさり玉砕。

「ふぁ…。疲れた…」

あれから6店舗をハシゴして、大量の荷物を(サニーの触角が)抱えている。
楽しそうに服を選んでいる兄弟をよそに、私は着せ替え人形と化していて、数十着という着せ替えを要求され、クタクタだ。
…まだここにきて3時間なのに、猛獣相手にするより疲れた…。

「ん、―れ飲むし」

今は近くのカフェテラスで休憩中。
どっさりと隣に置かれた荷物を見て、頑張ったね自分!と励ます。
溜息をついたところへサニーが持ってきてくれたドリンク(コラーゲン入りのアセロラ味)が身に染みる。
リンちゃんはと言うと、近くに3時から限定で販売される限定チョコを買いに行ったため、しばらくは戻ってこない。

「おいしい…」
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