ヴァンパイア騎士
□君のせいで
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「…重い…」
僕はどうやら風邪をひいたらしい体を起こして、時計を見る。
時刻は12時になる少し前。
…まさか僕がこんな時間に目を覚ますなんてね…。
いつもなら普通に寝ているであろう真昼に目を覚ましたことに、少し驚いたが、とりあえず水を飲もうと起こした体の重さにさらに驚愕した。
「はぁ…どうして誰もいない時に…」
思わずため息が出る。
理由は、今日と明日の二日間紅茶を入れる星煉すらもいないということ。
「(いや、むしろ良かったと思うべきか…)」
とりあえず、こんなことが藍堂に知れたら大変だ。
今日一日はここで過ごすことにしよう。
といっても、もともとどこかへ行こうなんて思っていないけどね。
こんなに体が怠いんじゃどこへ行く気はおきない。
瑞樹のところ以外は。
「でも、風邪がうつるといけないからね」
逢いに行きたい気持ちをグッと抑え、おぼつかない足を何とか動かして水を飲むため、移動する。
「ふぅ…」
水を飲むためだけに随分疲れた気がする…。
今まで風邪なんてものを引いたことがなかったからか、どうしていいかわからない…。
…確か前にどこかで寝れば治るって言ってたような…。
足だけでなく、思考も危うい中結論は出た。
「…瑞樹」
ベッドに入り、薄れていく意識の中、僕は無意識にそう呟いた。