うたぷり

□おこた:一ノ瀬トキヤ
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“今日は一日オフ”


朝起きて一日のスケジュールを頭で整理することは、すでに私の日課となっていた。

今日は土曜日。


学校は休みだ。それでも学校へ行く時刻に起床し、朝食を作り、できたものを口へ運ぶ。

同室者である音也は、休日は予定がなければ10時頃まで爆睡しているため、これもまた日課のようになっている音也の分の朝食にラップをかぶせてテーブルへ置いた。


―今日は何をしましょうか…。


そう思っていた私の耳に、聞きなれた着信音が入ってきた。
この着信音に設定されているのはただ一人。





「もしもし、水月ですか?」





そう。

弟であり、私の最愛者である水月だ。
私が電話へ出ると、朝から元気な声が聞こえる。





「トキ兄おはよ〜! ねぇねぇ、今日は一日オフだったよね?」



「ええ、そうです。 何かありましたか?」





水月は私のスケジュールを大体把握している。
それはもちろん、私のもとへ届くスケジュール(といってもよく変更されますが…)を見ているから。

かくいう私も、水月の次に作らなければいけない曲数とそれに沿ったスケジュールを大体把握しているのでお互い様ですが。

電話口から聞こえる声の主、水月は確か今日は曲の仕上げがあると言っていたはず。

備考ですが、水月は曲の仕上げをする日は基本的に集中するため、部屋に閉じこもり、連絡もしない所かケータイ電源まで切っていることがあるほど。

そんな水月から電話がくるのは珍しく、私は何かあったのかと勘繰る。

しかし、帰ってきた水月の答えは曲に関することではなかった。





「今日さ、予定はいってなかったらちょっと手伝だってほしいことがあるんだけど…」





少し申し訳なさそうに紡がれたその言葉に、特に幼児の入ってなかった私は引き受けることにし、まだ少し準備ができていないから30分ほど後に来てほしいと告げる水月の言葉に頷いて通話終了のマークを押し、本を開いた。
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