うたぷり
□どうしようもない程キミが好き:一十木音也
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「水月!」
「音くん、どうしたの?」
クラスの違う水月は俺のルームメイト、トキヤの弟。
そして、俺の大好きで大切な人。
俺は毎休み時間、水月に会うためにSクラスへ行くんだ。
あ、付き合ってはないよ?
そうなれたらなって思ってるけど。
「音也、もう少し静かにしなさい。それから、水月に引っ付いてないで座ったらどうです?」
…まぁ、もちろんSクラスにはトキヤがいて、目を光らせてるんだけどね…。
今更だけど、トキヤの過保護はすごい。
俺が水月に引っ付くと、すぐにベリッて剥がすんだ。
「まぁまぁ、トキ兄。僕は気にしてないし大丈夫だよ。ね〜?」
そういってふわっと微笑む水月。
いつもなら身長差で頭なんて撫でてもらえないけど、こうやって抱き着いた時だけは、水月の手の届くところに俺の頭があるから撫でてくれるんだ。
備考だけど、水月の撫で方は優しくて、すっごく心地いい。
「えへへー、きもちーっ」
だから、思わず笑顔になっちゃうんだ。
あまりに気持ち良くて「もっと、もっと〜」ってねだってたら、トキヤが「課題をしなければならないので静かにしてください」なんて俺を制する。
―真面目だよね…。