うたぷり

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「え、そんなにトキ兄笑わないんですか? 僕といる時は…こう…ふわって綺麗に微え―むぐっ」





せっかくだし仲良くなるチャンスかな、と僕を囲んでる子たちと話していると、突然後ろから口を塞がれた。塞いだ人は大体わかる、トキ兄だ。

トキ兄は普段あまり見せない照れたような困惑したような表情をあまり女の子たちに見せないように俯きつつ「…水月、あまりそうやって人のことをベラベラと話さないでください…。 こちらが聞いていて恥ずかしいです」とだけ言うと、手を放した。

注意はいいんだけど、トキ兄が来たから今目の前にいた女の子たちが黄色い声を…しかも大音量で叫んだから耳が…。

そんな僕らの後ろでは、翔が「おーい、水月、トキヤ。 食堂行くぞー」と僕らを呼んでいる。

その声を聞いて、僕は周りにいた男女に「質問、全部聞いてあげられなくてごめんね。 でも呼んでるから、また今度話そうね」と笑顔で別れを告げ、翔のもとへと駆け寄る。
もちろんトキ兄の腕を引いて。





「子猫ちゃんも俺に劣らずレディーキラーだね」



「レディーキラー…?」



「水月は天然なだけです。 あなたなんかと一緒にしないでください」



「変な張り合いしてないで行くぞ、二人とも…」





レンと翔の元へと行くと、レンはニコニコと僕を見てレディーキラーだというが、正直レディーキラーって何…。

そんなことを思ってる僕の隣で翔が小さくため息を吐いた。
これ、日常茶飯事ならツッコミしてる翔って大変だなぁ…。
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