うたぷり
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それに驚いていると、音くんと翔が僕の目の前に来て、「すっげー!! これ、本当に俺達の曲!?」 「こんなクォリティーたけぇの、2日かからず作ったってのかよ!!?」と騒ぎ出す。
「正確にいうと、これを思いついたのは昨日の夜だから、半日?かな。 あと、ちゃんとピアノで弾いたのはこれが初めてだから、まだ直すところもあるし…」
困ったように笑う僕に、真斗・レン・なっちゃんが「驚いたな。 初めて弾いてこれか…」 「とても心地のいい曲だね。 気に入ったよ」 「すごいですみーちゃん!! とぉ〜っても素敵な曲ですね!」 など、うれしい言葉をかけてくれた。
トキ兄はというと、「本当に、あなたはすごい才能を持ってますよ」と僕にだけ見せるようにふわりと笑っている。
まだできかけなのに、これだけ喜んでくれると作曲のしがいがある。
僕がみんなに、完成したらまた聞いてくれる?と問いかければ、皆は満場一致だったようで、すぐに肯定の返事が返ってきた。
それになんだかくすぐったいような感覚を覚え、僕はハニカミ笑う。
ここでAクラスの三人は、次の授業が移動ということもあってバイバイした。
けれど、僕はレンと翔の「子猫ちゃん、もう一度弾いてくれないかい?」 「俺も! もう一度聞きたいな」という意見で、もう一度さっきの曲を奏でることになり、チャイムが鳴ったのにも気づかずに弾いていた。
「ほう? さすが学園長が見込んだだけあるな」
「へ?あ、龍也さんっ!?」
「いい曲だな。 まぁ、それはいいとして、チャイム。 もう鳴ったんだが」
「え?あ!! ごめんなさい、今席に戻ります」
「おう。 ほら、お前らも席に着け」
ふと聞こえた声に弾いていた手を休めれば、そこにいたのは龍也さん。
驚いて椅子から立ち上がった僕の頭にポンポンと手を置き、曲をほめてくれた。
龍也さんはほめ言葉に続き、授業を始めたいといわんばかりの顔つきで僕へ席へ着くように促す。
あ〜、チャイムんて気づかなかったよ…。
焦って席に着いたけど、どうやら焦るほど時間は経っていなかったらしく、安堵のため息を吐いて授業に集中した。
余談だが、今日の授業には珍しくレンが出席していて、龍也さんは少し驚いていた。