うたぷり
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「あ?」
思わず訂正すると、今度は砂月さんが間の抜けた返事をした。
最近よく間違えられるなぁ…。
声変わりしてないのが悪いのかな?
「…ナベか?」
「違います」
どうみたって女だろ、と言いたげな視線を翔に向けているが、僕は男だ。
さっきよりも強めの口調で否定する。
「へぇ、まあそんなことはどうでもいい。 俺は別のところへ行く」
ガタっと席を立つと、砂月さんはくるりと僕たちに背を向けて歩こうとする。
それを今までポカンとしていた音くんが、「待ってよ那月」と呼び止めるが、逆効果だったようで「俺は那月じゃねぇ! 触んな!!」と砂月さんが怒り、傍にあった木を、音くんの手を振り払った反動で殴った。
うん、殴っただけ。