ヴァンパイア騎士

□冬の一時
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ロビーに着くなり第一声がこれの梓葉。
まぁ無理もないだろう。




「せっかく雪が積もってるから雪遊びでもしようかなって。」

「瑞樹、寒いの駄目なのに大丈夫?」

「動けばあったかくなるでしょ」

「大丈夫ならいいよ、私もする」




上手く梓葉を乗せ、8人は寮の裏のスペースに集まった。




「って…雪遊びって言ってもいろいろあるけど、何をするんだ?」




架院が当たり前のような質問をすると、気分が乗ったのか梓葉がハイテンションで「雪と言ったら雪合戦に雪だるま!!ってことで、雪合戦からしよーっ」と早速作った雪玉を持つ。




「それじゃあチームを決めないとね。んー…くじにしよっか」




こちらも気分が乗ってきたようで、能力の無駄遣いだが、空気中から抽出した水を8つの小さな玉に分け、水の中に溶け込んでいる酸素を血に変えて色を付けた。
(赤3 薄い赤2 無色3)





「よし、これを今から上でシャッフルさせるから、そうだな…拓麻、ストップかけて」

「分かったよ」




瑞樹の「いくよー」という合図と共に、7人の頭上とその横の空白の場所でくるくると場所をランダムに変える水球。
少しして、一条のストップがかかり、それぞれの手元に下りてきて、色の確認を取る。





「僕は残った奴だから無色か…。皆はどうな―「うわぁぁぁッ」…友香?」





水球の色の確認をしていたところで、友香の悲痛な叫びが上がった。
原因は水球の色。

友香が持っているのは赤色なのだが、それを持っているほかの自分物が友香が苦手とする藍堂と玖蘭だったのだ。

ちなみに、薄赤色は梓葉と一条、無色は架院・支葵・瑞樹だ。
…まさに一条ミラクルである。

一条を軽く睨む友香の視線など感じないほどに嬉しいのか、一条は梓葉に「一緒だね」なんて話しかけている。




「な、なんでこの二人と一緒なんだ…」

「まぁまぁ、ほら、次にかけて今回は諦めなさいな」

「瑞樹…他人事だと思って…」

「だって楽しそうなんだもん」

「あ゛−…。瑞樹、変わらないか…?」

「やだ☆」




どうやらこのチーム決めで悲惨なのは友香のチームだけなようで、瑞樹はこの状況を楽しんでいた。

ぐだぐだ言っていても始まらないので、各チームはそれぞれ均等に距離を取り、制限時間の10分で壁と雪玉を作成する。





〜友香チーム〜



「なんで俺が…。って、冷たッ」



未だにうなだれる友香に、小さな雪玉が当たる。
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