夢への扉

□白き人との出会い
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徳川家康の元へ行くため松姫軍は自分の故郷を出て二日過ぎた。松姫は白炉の背中に乗り指示をした
「そろそろ着く。皆もう一息だよ!」
だんだん目の前が明るくなった。そして・・・・

着いたか・・・と思いきや、海が広がっていた。波風が肌を撫でる。一方松姫の顔は青ざめていた。松姫は昔から方向音痴だったことをすっかり忘れていたのだ。兵士たちは唖然としていた。白炉はため息をついた。

「ど、どうしよう。は、白炉なんか・・・迷っちゃった・・・・あ、アハハ」
苦笑いした松姫に白炉が呆れた顔で「だろうね」と心のなかで呟いた。

「馬鹿だなぁ。あんたはそれでもここの将軍か?まぁ・・・昔からか(笑)」
見下した目で松姫を見た

「うるせーなぁ!狼のくせに生意気何だよ!私はただ・・・迷子になっただけだ。」
松姫は恥ずかしいからか頬が赤くなっていた。そんなことをしている間に船が来ていた。あれは・・・伊予河野から来た船。あれに乗っているのは預言者鶴姫殿がいた。

「あれは噂の姫巫女殿!あの人なら家康殿のいる所が分かるはず!間違いない。皆ついて来て!」

松姫は再び白炉の背に乗った。そして船の所に着いた。鶴姫は船を降り背伸びをしていた。

「あのっ・・・すいません徳川家康殿の所に生きたいのですが・・・」松姫はもじもじしながらいった。
「あっ、はい!!いいですよえーと・・・ここをずばっと曲がって!びしっと真っすぐ行けば着きますよ」と擬音を入れながら案内をしてくれた。正直少し分からなかったがだいたい分かっていた。

「あっ、ありがとうございます。それではわ、私はこれで」行こうとした時、鶴姫は松姫を呼び止めた。

「あの!まだお名前を聞いてないですよ!あなたのお名前は?」

「わ、私はっ!ま、松姫と申します。この軍の将軍です。よ、よろしく。」とお辞儀をした。

「そんなに固くならなくてもいいですよ。松姫ちゃん」
「まっ、松、姫、ちゃんですか?」松姫は緊張の余り顔が真っ赤になっていた松姫の名前をこんな風に言われたのが生まれて初めてだった。昔は友達がいなくて独りぼっちだったため、嬉しさのあまり、口元がニヤッとしそうになったのを必死に押さえた。

「はい♪あっ・・・・申し遅れました伊予河野から来ました鶴姫です。呼ぶ時は鶴姫ちゃんで構いませんよ☆」とニコッと笑った
「じ、じゃぁ・・・鶴姫ちゃん。この恩は必ず返します。本当にありがとう。」

と一礼をし、白炉の背に乗った。鶴姫は手を振って松姫を見送った。こうして鶴姫ちゃんが教えてくれた道に行き家康の元へと走り続けた。深夜になり森で野宿をした。薄暗い中で火をたき、皆で夕食を作った。夕食も食べ終わり松姫は白炉を呼んだ。

「白炉。私生まれてきて初めて「松姫ちゃん」って言われた。」
とニコニコしながら白炉に言った。白炉は
「そうかい。良かったな、あんたは生まれた時から友達がいなかったからさぞかし嬉しかったろうな。てか、あんた口元がニヤッってなってるぞ」

と指を指した。松姫はすぐさま口を裾で隠し

「うるさいっ!嬉しかったからしょうがないだろ」

と赤くなりながら言った。「明日は早いから寝る」とすぐに立ち上がり布団にもぐった。
明日はどんな人と会うのだろうか。松姫はドキドキする胸を押さえながら眠りに着いた。
 

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