【END and RE:TURN】
□来日
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オーバー・ザ・レインボー。
そんな優雅な名に相応しくない無骨な姿の巨大な戦艦上で、三人の少年達が、顔に手形を作っていた。
「見物料よ、安いもんでしょ?」
これが、少年と少女―シンジとアスカの出会いだった…
*
「…もう来ていい頃なのに。」
シンジは不安だった。
何故なら、来日するはずの赤毛の少女が来ないのだ。
無論、そろそろ来日するはずというのは彼の経験にもとずくのだが―
「何かあったのかな…」
母の墓参りの話が舞い込んできたのは、そんな時だった。
*
「…久しぶりだな、二人でここに来るのも。」
「前に来たときは逃げ出したんだっけね…」
―あの時は、認めたくなかった、母の死を
―でも今は、いつも側にいると感じることが出来る
「…母さんの、何か残ってないの?」
「ここにはない、すべては心のなかだ―」
―今は、それでいい
「…父さん。」
「…何だ?」
「僕は、父さんのこと、恨んでなんかないから、だから…」
「……」
父は、ただ黙って聞いていた。
「…また、最初から、やり直せないかな?」
「…私にそんな時間はない。」
「…そうだよね、ごめんなさい。
変なこと言って…」
―分かってたんだ、こうなることは、心のどこかで…
―でも、信じたかったんだ、父さんを…
「すべてが終わった時には…」
「…?」
「…時間だ、私はもう行く。」
ヘリへと歩いていくゲンドウ。
「…父さんっ!?」
父の歩みが止まる。
「…何だ?」
「…ありがとう。」
「……大人になったな、シンジ。」
そう言って、父は去っていった―