【END and RE:TURN】
□告白
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「…暇ね。」
「うん…」
とある日曜日、葛城邸―
シンジが退院し、アスカも再びここで暮らし始めて数日が過ぎた。
ミサトはまだ退院出来ず、現在はシンジとアスカの二人で生活している。
そして、以前は頻繁に襲来していた使徒も来る気配が無く、最近二人は、暇をもて余していた。
「…ねぇ、シンジ?」
「何、アスカ?」
「アタシ、やりたいことがあるんだけど…」
*
「確かこの辺だったと思うんだけどな…」
「…ねぇ、まだぁ?」
「ちょっと待ってよ…」
「さっきからそればっかじゃない!?
場所分かんないんなら、最初っからそう言いなさいよ、バカシンジ!?」
「ご、ごめん。
あっ、あそこじゃない?」
「…間違ってたら殺すわよ?」
「だ、大丈夫だよ。
ほら、『カラオケ』って書いてあるし?」
確かにきらびやかな看板に、『カラオケ』の文字が踊っている。
―そう、アスカのやりたいこととは、『カラオケ』のことだったのである。
「…でかしたわ、シンジ。
じゃ、早く行きましょ?」
「え、僕も行くの?」
「あったりまえじゃない!?
ただ道案内頼んだわけじゃないわよ!?」
「え…」
「…そんなに嫌なの?」
「僕、歌うまくないし…」
「別に楽しめればいいじゃない?
ほ、ほら、行くわよ?」
そう言って手を差し出すアスカ。
「え、あ、うん…」
シンジはその手を掴み、二人はそのまま顔を真っ赤にして彫刻の様に固まる。
―先に活動を再開したのはアスカの方だった。
「じゃ、じゃあ、行くわよ?」
「う、うん。」
こうして、二人はぎこちない歩みで店内に入っていった。