【END and RE:TURN】

□告白
1ページ/3ページ



「…暇ね。」

「うん…」

とある日曜日、葛城邸―

シンジが退院し、アスカも再びここで暮らし始めて数日が過ぎた。

ミサトはまだ退院出来ず、現在はシンジとアスカの二人で生活している。

そして、以前は頻繁に襲来していた使徒も来る気配が無く、最近二人は、暇をもて余していた。

「…ねぇ、シンジ?」

「何、アスカ?」

「アタシ、やりたいことがあるんだけど…」



「確かこの辺だったと思うんだけどな…」

「…ねぇ、まだぁ?」

「ちょっと待ってよ…」

「さっきからそればっかじゃない!?
場所分かんないんなら、最初っからそう言いなさいよ、バカシンジ!?」

「ご、ごめん。
あっ、あそこじゃない?」

「…間違ってたら殺すわよ?」

「だ、大丈夫だよ。
ほら、『カラオケ』って書いてあるし?」

確かにきらびやかな看板に、『カラオケ』の文字が踊っている。

―そう、アスカのやりたいこととは、『カラオケ』のことだったのである。

「…でかしたわ、シンジ。
じゃ、早く行きましょ?」

「え、僕も行くの?」

「あったりまえじゃない!?
ただ道案内頼んだわけじゃないわよ!?」

「え…」

「…そんなに嫌なの?」

「僕、歌うまくないし…」

「別に楽しめればいいじゃない?
ほ、ほら、行くわよ?」

そう言って手を差し出すアスカ。

「え、あ、うん…」

シンジはその手を掴み、二人はそのまま顔を真っ赤にして彫刻の様に固まる。

―先に活動を再開したのはアスカの方だった。

「じゃ、じゃあ、行くわよ?」

「う、うん。」

こうして、二人はぎこちない歩みで店内に入っていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ