【END and RE:TURN】

□堕天使
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衛生軌道上―

使徒はそこにいた。

「…すごいわね。」

その姿を目にし、半ば呆れたようにミサトが呟く。

「光を歪める程のATフィールドとはね…、で、シンジ君とアスカから何か対策とか聞いてないの?」

そう言って、リツコはミサトに目を向ける。

―二人のことについて、リツコはミサトからすべてを聞かされていた。

もちろん、本人たちの了承を得てである。

「聞いてはいるんだけどねぇ…」

「何か問題でもあるの?」

「……前は、受け止めたらしいわ。」

「…は?」

「だから、手で受け止めて、殲滅したらしいのよ…」

「…司令と副司令に連絡はつかないの?」

そう言って、オペレーター達の方を向く。

「駄目です、使徒の周囲に強力な磁場が発生していて…」

そう答えるマヤの表情は、心なしか曇っている。

「そう…」

再びミサトの方に体を向ける。

「…ということは、最終的な決定権はミサト、あなたにあるわね。」

「分かってるわよ…
…リツコ、使徒を手で受け止めた場合の成功確率、出せる?」

「すぐに出せるわ。」

そう言って、キーを高速で弾き出すリツコ。

「…1%にも満たないわね。」

「…0では、ないのね?」

「えぇ…、あなたまさか…」

「0でないなら、 勝算はあるわ。」

「危険過ぎるわ!?
奇跡でも起きないかぎり…」

「奇跡は…」

「…?」

発言を遮られるリツコ。

「…起きるんじゃない、起こすものよ?
それに、あの子たちを信じているから…」

そう語るミサトの表情は、とても穏やかでー

「…分かったわ。
起こしましょう、奇跡を。」

こうして、壮大な作戦が、幕を開けた。
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