【END and RE:TURN】

□因縁
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昼、2-A教室―

「起動実験、今日よね…」

「うん…」

二人の周りには深刻な空気が漂っている。

「何や、また夫婦喧嘩かいな?」

「…鈴原、ちょっとは空気読みなさいよ。」

そう言って、トウジの耳をつねる委員長。

「イタッ、イタいわアホっ!?
何すんねんっ!?」

「…どうみたって、喧嘩どころじゃないでしょ。
…たぶん、そろそろ破局よ。」

「は、破局っ!?
ホンマかいなっ!?」

「たぶんね…」

…意外と委員長とトウジは似た者同士なのかもしれない。

それ故、互いに惹かれる所があるのだろう。

「碇君、アスカ…」

二人を遠くから心配そうに見つめるレイ。

もちろん、彼女は3号機の件を知っているため、ずれた勘違いはしていない。

「…3号機に何かあるの?」

二人はまだ、綾波に全てを話してはいない。

以前シンジが、彼女の出生の秘密を知っていることを、暗に明かしたきりである。

「…二人は、何を知っているの?」



放課後、2-A教室―

「…結局、何も起こらなかったわね?」

「うん、このまま何も無ければいいんだけど…」

「碇君、アスカ…」

「綾波…?」

話し掛けてきたのは、レイだった。

「どうしたの…?」

「二人は―」

「…?」

「―何を知っているの?」

沈黙。

(もう、潮時かな…)

隠し通せるのも、もう限界が近づいている。

彼にしても、理由も無くただ黙っていた訳ではない。

―彼は、不安だったのだ。

事実を知ったところで、彼女が傷付くだけではないのか?

そして、それを知って果たして彼女は平静を保っていられるのだろうか?

―シンジには、分からなかった。

しかし、彼女に知る権利があるのも事実。

彼女が知りたがっている以上、教えるべきであるのは明白だ。

(でも、それでいいのか?)

そういった考えが、彼の頭の中で、無限ループの様にぐるぐると回っていた。

「…教えましょうよ、シンジ。」

沈黙を破ったのは、アスカだった。

「アスカ…」

「…アタシだったら、自分のことを自分が知らないなんてイヤだもん。」

「…ありがとう。」

「え?」

「…僕だけだったら、ただ悩んで、それで終わってたから。」

「シンジ…」

そして、シンジは腹を決めた。

「…綾波、全てを話すよ。
でも―」

「…?」

「―辛かったら、その時は言ってよ?」

「…ありがとう。」

「うん…、僕たちは―」

その時、三人の携帯が教室に鳴り響いた。

「…シンジっ!?」

「…くそっ!?」

―結局、繰り返すしかないの?

「…綾波、この闘いが終わったら、全てを話す、約束する。」

「…分かった。」

「…ごめん。」

そう言って、三人は走り出した。
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