【END and RE:TURN】

□帰還
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(…ここは、どこだ?)

気付いた時、シンジは暗闇にいた。

いや、「いた」のではない、シンジは暗闇そのものだった。

(…碇君。)

(綾波…?)

ぼんやりと伝わるレイの存在。

(この感じ、どこかで…!?)

以前、初号機に取り込まれた時に感じた、あのひどく心地よい感じ。

すべてが一つになった時に感じた、どこか虚しい感じ。

(…赤い海、赤い空、横たわっているのは、アスカ…?)

(どうしてそれを…)

動揺するシンジ。

(碇君から伝わって来るもの…)

(…そうか、あの時僕と綾波はLCLに溶けて…)

(…碇君、教えて。
私が感じたあの世界は、いったい何?)

(…分かった、すべて伝えるよ…)

そう伝えて、シンジはこれまでのことをイメージし始めた。

(…この方が分かりやすいでしょ?)

(えぇ…)

そして、レイはシンジのイメージの中に入り込んでいった―



―しばらくして、レイから苦しみが伝わって来る。

(綾波…)

(大丈夫…、世界は一回終わっていたのね…)

(うん…、僕が最初から逃げ出さずに戦ってれば、違う結末だったのかもしれない…)

(辛かったのね…)

(うん…、でも、またみんなと逢えて嬉しかったりもしたんだ…)

(そう…)

(…綾波も、辛かったんだよね…)

(…えぇ、辛かったわ、とても…)

瞬間、シンジの頭にレイのイメージが入って来る。

―レイは生まれてから、造られてから、ずっと孤独だった。

リツコからは実験材料のマウスの様に見られ、ゲンドウからは失った妻を自分の中に見られ―

―誰も、彼女の本質を見ようとはしなかった。

(…ごめん、今まで気付けなくて…)

(違うの…)

(え…?)

(今は違うの…)

そして、再び入ってきたイメージはさっきの孤独なそれではなく、温かいものだった。

彼女の周りには、シンジが、アスカが、ミサトが、リツコが、ゲンドウが、トウジが、ケンスケが、ヒカリが―

―みんながいた。

(碇君が、教えてくれた…)

(綾波…)

(私はもう、孤独じゃない…)

彼女から、木漏れ日の様に温かいものを感じたシンジ。

(…良かった。)

(ありがとう…)

(うん…)

そして、二人は再び意識を手放した―
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