【END and RE:TURN】
□決別
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NERV内部、自販機前―
「本当に散々だったな…」
加持はそう呟き、独り無精髭を弄った。
*
数時間前、NERV総司令執務室―
「…もう一度問う、どこに隠した?」
威圧感を放ちながら静かに問うゲンドウ。
「…何度も言いますが、命がけで盗んだ物をまた盗む訳無いでしょう?」
そう言い切る加持。
目の前にあるのは無惨にも破壊された『ネブカドネザルの鍵』が入っていたアタッシュケース。
「冬月、赤木博士に自白剤を持ってくるよう伝えろ。
出来るだけ強力なのを頼む…」
加持から目を反らさずに言うゲンドウ。
「碇…、分かった。
すぐに持ってこさせよう。」
そう言って出ていく冬月。
そして、静かになる執務室。
「……」
「……」
誰も口を開くことなく一時間程度が経過した。
そして透明な液体を手に、冬月が戻ってくる。
「…記憶を消し去る程の物だそうだ。
良いのか、碇?」
「…構わん。」
「…司令、一つ頼んでもよろしいですか?」
口を開く加持。
「…何だ?」
「葛城に、愛していると、伝えていただけないでしょうか…」
「…あぁ、それだけか?」
「えぇ、これで心おきなく、コイツを飲めます。」
そう言って、その液体を手に取る。
「すまない、葛城…」
液体を一気に飲んだ加持。
「…?」
何も、起こらない。
しばらくたっても、全く変化は見られない。
「…ただの水だ。」
そう言って、顔の前で組んだ手の影でニヤリと笑うゲンドウ。
「……」
唖然とする加持。
「自分で飲んだということは、本当に無関係らしいな…」
そう言って、考え込む冬月。
「…心当たりが無いのか、君は?」
「…おそらく、ゼーレの仕業でしょう。
私たち以外にこれの存在を知っているのは彼らだけでしょうし…」
無精髭を弄りながら話す加持。
「…目的は分かるか?」
「…自分たちの邪魔をさせないためでしょう。
向こうもおそらくコイツを狙っていたハズですから…」
「分かった…、もう出て行って構わん。」
「…計画はどうなさるおつもりで?」
「…君には関係の無いことだ。
だが…、いや、何でもない、行きたまえ。」
「はいはい…」
そう言って、加持は執務室を後にした。