【END and RE:TURN】

□希望
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(……)

真っ暗で、何も無い世界の片隅ー

(………ここは…?)

少女は一人、目を覚ますー

(………そうか、アタシ、死んだんだ…)

悪魔に身体を、魂をボロボロにされー

(………アタシは、死んだんだ…
我ながら、本当に呆気なかったわね…)

でもー

(まっ、あれで生きてても、もうアタシを見てくれる人なんか……)

思い出される、黒髪の少年ー

(………気持ち悪い、か………)

私は、彼を、拒絶したー

(……アイツは、生きる気力も無いアタシを、ほっといても死んだアタシを、殺そうとした……)

何故ー

(どうせアタシが憎かったから…)

『それは、違うわ。』

(……!)

頭の中で木霊する、懐かしい、温かな声ー

『あの子は罪悪感を感じていた。
アスカちゃんを、頭の中とはいえ、汚してしまったことに。
襲われてるアスカちゃんを、助けようとしなかったことに。
そして、アスカちゃんを、赤い海から引き戻してしまったことに。』

だからー

『あの子なりに、アスカちゃんを解放しようとしたのよ…
…勿論アスカちゃんに拒絶されるのが恐かったっていうのもあるけどね?』

(……でも、アタシは結局、拒絶した……)

彼の声にならない叫びを、助けを呼ぶ声を、そして、優しさをー

(………もう、遅いのよ…)

『でも…それでいいの?
本当に…?』

(………)

沈黙。

『……アスカちゃんなら、きっとやり直せるわ。
だからもう、あの子のところに帰りなさい。
あの子は必ず、アスカちゃんを必要としている。』

(……アタシは……)

何を求めるのかー

(……もう一度……)

誰を求めるのかー

(……やり直したい。)

柔らかな光が、少女を包み込むー

『生きなさい、あの子と共に。
私はあなたを、ずっと見守っているわ。』

一筋の希望をー

(ありがとう……)

決意の灯火を、胸に抱きー

(……ママ。)

ー少女は世界に帰ってきた。
  
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