【END and RE:TURN】
□絆
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ミサトとレイが病室に入って来たのは、それに気付いてから30分程度過ぎた頃だった。
「今回の使徒に対する作戦が決まったわ。
…正直まだ痛むと思うけど、この作戦はシンクロ率の高いシンジ君が適任なの。
だから…」
「大丈夫ですよ…」
「シンジ君…ごめんね。
では、これより、ヤシマ作戦の説明を行います。」
*
シンジによる超遠距離射撃、レイによる防御。
それがヤシマ作戦の大まかな概要であった。
(また綾波を傷つけなくちゃならないのか…)
誰も傷つけないと、決めたのに。
絶対に守ると、決めたのに。
(……守るって決めたんだ…)
絶対に守る、そう決めたから。
だから、今度こそ誰も傷付けない。
(その為なら、なんだってしてやる…)
*
決戦直前―
二人は月を見ていた。
「…綾波は、どうしてエヴァに乗るの?」
以前もした質問、しかしシンジはどうしても聞きたかったのである。
「…絆だから。」
「父さんとの?」
「みんなとの、絆。」
「…僕は、綾波がエヴァに乗らなくても、みんなとの絆はあると思うよ?」
「…どうして?」
「…エヴァに乗らない生き方もあるって、信じてるから。」
それはかつて、綾波自身がアスカに言った言葉。
「…だめなの。」
自分は、自分の存在意義は、この得体の知れない機体に乗ることだから、そのために、造られたから―
それを彼には、伝えなければならない―
「…わたしは、二人目なの。」
「…だから?」
「…え?」
「僕にとっての綾波は、今の綾波だけなんだよ。
だから―」
―替わりなんて、いない、だから―
「―守るよ、何があっても。」
「碇君…」
シンジの瞳に、何か胸騒ぎを覚えたレイであった。