【END and RE:TURN】

□絆
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ミサトとレイが病室に入って来たのは、それに気付いてから30分程度過ぎた頃だった。

「今回の使徒に対する作戦が決まったわ。
…正直まだ痛むと思うけど、この作戦はシンクロ率の高いシンジ君が適任なの。
だから…」

「大丈夫ですよ…」

「シンジ君…ごめんね。
では、これより、ヤシマ作戦の説明を行います。」



シンジによる超遠距離射撃、レイによる防御。

それがヤシマ作戦の大まかな概要であった。

(また綾波を傷つけなくちゃならないのか…)

誰も傷つけないと、決めたのに。

絶対に守ると、決めたのに。

(……守るって決めたんだ…)

絶対に守る、そう決めたから。

だから、今度こそ誰も傷付けない。

(その為なら、なんだってしてやる…)



決戦直前―

二人は月を見ていた。

「…綾波は、どうしてエヴァに乗るの?」

以前もした質問、しかしシンジはどうしても聞きたかったのである。

「…絆だから。」

「父さんとの?」

「みんなとの、絆。」

「…僕は、綾波がエヴァに乗らなくても、みんなとの絆はあると思うよ?」

「…どうして?」

「…エヴァに乗らない生き方もあるって、信じてるから。」

それはかつて、綾波自身がアスカに言った言葉。

「…だめなの。」

自分は、自分の存在意義は、この得体の知れない機体に乗ることだから、そのために、造られたから―

それを彼には、伝えなければならない―

「…わたしは、二人目なの。」

「…だから?」

「…え?」

「僕にとっての綾波は、今の綾波だけなんだよ。
だから―」

―替わりなんて、いない、だから―

「―守るよ、何があっても。」

「碇君…」

シンジの瞳に、何か胸騒ぎを覚えたレイであった。
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