【END and RE:TURN】
□生命
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そして、社会科見学当日―
「すごぉい!?
見てシンジ、水が…」
「うん、すごいなここ…」
この世界では、あの海から還りきれなかった生命が、まだ海を赤く染めている。
もちろん、人を含めて…
(海洋生物研究所…ここであの海を浄化してるんだ…)
複雑な気持ちになるシンジ。
確かにあの海では生き物は生活出来ない。
しかし、あの海は、過去に生命が生きていた、証でもある。
―いや、形がないだけで、生命はまだ、確かにそこにあるのだ。
(…犠牲の上に、僕らは生きているんだ…)
「あ、加持さぁん!!」
アスカの声によって現実に戻される。
―よく来たな、二人とも。
まぁ、これからが大変なんだがな?
「「…へ?」」
*
「うぅ…」
「プラグスーツも何も着ないで直接シンクロした時のことを思い出したわ…」
「ほら、二人とも、こっちだ。」
「わぁ…」
「…すごぉい!!」
目の前では、巨大な水槽の中を様々な生命が悠々と泳いでいた。
「あ、ここにいるのって、もしかしてペンギン?」
「あぁ、コウテイペンギンって言ってな、もともと南極で生活してたんだ。」
「へぇ…、ペンペン連れてくれば良かったわね、シンジ?」
「あ、うん…」
「ちょっと、なぁにしけた顔してんのよ?」
「うん、ごめん…」
「…今は、楽しみましょうよ?」
「…え?」
「楽しんでないと、アタシ、泣いちゃいそうだから…」
「アスカ…」
彼女の瞳には既に涙が溜まっている。
(そうか、アスカも人を殺してるんだよな…)
それも、自分のように間接的にではなく、直接、自らの手で。
仕方無かったとはいえ、消えることの無い罪。
彼女も傷付いていた。
いや、自分以上に、傷付いていた。
「…うん、楽しもう、アスカ!!」
「うん!!さぁ行くわよ、バカシンジ!!」
「……」
その様子を、遠くから見つめる、加持であった。