【END and RE:TURN】

□帰還
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輸送ヘリ内部―

「酷い有り様ね…」

ため息混じりに呟くミサト。

上層部は跡形も無く消し飛ばされ、内部も機械の部品などが、あちこちに散乱している。

「…感傷に浸ってる場合じゃないわよ?」

そう、無表情で呟くリツコ。

「…えぇ、分かってる、分かってるわ。
まずはシンジ君とレイを救出しなくちゃね…」

そうミサトは自分に言い聞かせた。



「完全に沈黙してるわね…」

「…内部モニターから見て、二人はおそらくLCLに溶けてしまったみたいだわ。」

「前にシンジ君が言ってたのと同じね…、じゃあ、早く運びましょうよ?」

「そうね…、じゃあカヲル君、頼むわ。」

―分かりました。

そう言って銀髪の少年は作業を始めた。



時は初号機が沈黙した直後に遡る―


「―あれは、エヴァ…?」

空を見上げながら呟くミサト。

そして、舞い降りて来た白銀の巨人。

「Mark.06…、噂では聞いていたけど、もう開発が終了してたなんて…」

「誰か出てきます…」

そして、エントリープラグから一人の少年が降りてくる。

「赤い瞳…」

その色素が脱けたような白い肌、そして真紅の瞳は、あまりにもレイと酷似していた。

「…何者なの、彼は?」

そう言って少年を見つめるリツコ。

そして、少年がこちらに気付く。

「…何?」

微笑みながら、こちらに近づいてくる少年。

そして、彼女たちの目の前で止まる。

「…初めまして、ミサトさん、リツコさん、マヤさん。」

「な、どうして…」

突然名を呼ばれ、驚くミサト。

「NERV本部の作戦部長、技術部長、そしてその右腕とも言えるオペレーター…、知らない人はいませんよ?」

淡々と喋る少年。

「…あなた、何者なの?」

警戒を解けないミサト。

「渚カヲル…Mark.06のパイロットです。」

そう言って再び微笑む。

「カヲル君ね…、それで、初号機に何をしたの?」

カヲルを睨みながら問うリツコ。

「そんなに恐い顔しないでくださいよ?
ただ活動を停止させた、それだけですから。」

「じゃあシンジ君とレイは無事なのね?」

「はい。」

「良かった…」

途端、安堵するミサト。

「一つ聞いていいですか?」

「…何かしら?」

「アスカさんはどこに?」

「…ここよ。」

瓦礫の影から姿を現すアスカ。

「アスカっ!?
いつ病室から抜け出して…」

「…アンタ、渚カヲルね?」

「…その様子だと君は僕を知っているみたいだね?」

「…えぇ、アンタも知ってるんでしょ、あの赤い世界を?」

「…ご明察。」

「やっぱりね…」

遠くを見つめるアスカ。

「そういうこと…」

状況を把握したリツコ。

「先輩、あの二人は何を…」

何のことか分からないマヤ。

「あなたには後で話すわ…、二人とも?
邪魔なら私たちは向こうに行くけど?」

「お願いします。」

微笑むカヲル。

「分かったわ、さ、行きましょう?」

「えぇ…」

「はい…」

―納得できないミサトと、訳が分からないマヤだった。
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