【END and RE:TURN】

□決別
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二人だけになる執務室―

「…どうする、碇?」

「…彼らと手を切り、計画も中止する。」

「何だとっ!?
それはまだ早いのでは…」

「…冬月、私は子供だった。」

「…?」

意味が分からない冬月。

「失った物を、返ってこない物を諦めきれない、幼い子供だった…」

ゲンドウのサングラス越しに映る瞳は、静かに揺れていた。

「…シンジもあの男も今を守るために戦っていた。
だが、私は…」

「碇…」

「それに、あれが失われた今、計画の続行は事実上不可能だ…」

「……」

黙り込む冬月。

「…冬月先生、補完計画は中止する、赤木博士にもそう伝えてください。」

「…あぁ、そうしよう。」

「それと…、すまなかった…」

「…あぁ、分かった。」

そう言って、冬月は執務室を後にした。

独りになるゲンドウ。

「……」

無言で机の引き出しを開く。

そこにあったのは、赤子を胸に抱く、一人の女性の写真。

シンジには何も残っていないと告げていたが、この一枚だけが残っていた。

「…今までありがとう、ユイ―」

おもむろにライターを取り出し、写真に火を点ける。

灰になっていく写真。

「ぐうぅ…」

そして、瞳から涙をこぼし―

「うおおおおおおおおおぉぉ…」

―慟哭するゲンドウであった。









続く
  
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