【END and RE:TURN】

□心ー壱ー
2ページ/6ページ


それはシンジが夕食を作っているときに起こった。

「シンジ君、先に風呂に入っても構わないかい?」

いつもの様に微笑みながら訊ねるカヲル。

「僕は良いよ。
アスカも別に良いよね?」

そう言って、横になってスナック菓子を食べながらテレビを見ているアスカに目をやる。

「ん…、別に良いわよ?」

アスカは一度食べてるものを飲み込んでそう答えた。

「ありがとう。
じゃあ入ろうか、レイ?」

「えぇ…」

そう言ってアスカの横でボーッとしていたレイが立ち上がる。

「「……」」

「シンジ君、タオルはここにあるのを…?
シンジ君?」

「「…ちょっと待ったあぁっ!?」」

見事なまでにユニゾンするシンジとアスカ。

「…?」

「どうしたんだい?」

不思議そうな顔をするレイとカヲル。

「ア、アンタたちっ、なっ、何考えてんのよっ!?
ア、アタシとシンジだってそ、そんなことしてないのに…」

顔を真っ赤にしながら叫ぶアスカ。

「…カヲル君、もしかして毎日綾波と入ってるの?」

少し落ち着きを取り戻したシンジがカヲルに問いただす。

「そうだけど、それがどうかしたのかい?」

「二人がそんな関係だったなんて…」

そう呟くシンジ。

アスカはあまりのことに口をパクパクさせている。

「そんな関係?
どういうことだい?」

「…カヲル君は綾波のことどう思ってるの?」

「?」

「…好きか嫌いかで言ったら?」

「好きだね?」

「…レイッ、アンタはどうなのよっ!?」

復活したアスカが今度はレイに問いただす。

「分からない…、でも…」

「「…?」」

「…ぽかぽかする。」

「ぽか…?」

「…ぽか?」

「Mark.06の人といると、ぽかぽかする…」

そう言って頬を染めるレイ。

「…?じゃあ行こうか、レイ?」

「えぇ…」

浴室へ向かうカヲルとレイ。

その後ろ姿を口を開けて見送るシンジとアスカであった。



「「はぁ…」」

さっきのことを思い出し、ため息をつくシンジとアスカ。

「あんなにベッタリじゃこっちが居づらいって…」

「そうよねぇ…」

―そう言う二人もそんなことを言う資格など無いと思うのだが。

「そう言えば…」

「…?」

「…カヲル君と綾波、着替え持ってって無いよね?」

「…!?」

その時、浴室の扉が開く。

「やっぱり風呂はいいねぇ…?
どうしたんだい、二人とも?」

「カ、カヲル君…」

慌てるシンジ。

「あ、あ、あ…」

口をパクパクさせるアスカ。

その時、再び浴室の扉が開く。

「…?」

レイが見たのは鼻血を出しながら倒れるシンジと―

「…イヤアァアアアアアアァァッ!?」

―絶叫するアスカの姿だった。



「…アンタたち、いい加減服着なさいよ。」

「どうしてだい?」

「アタシは慣れたけど…」

「見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ…!?」

そう言いながらもレイをちら見してしまい、顔を真っ赤にしながら股間を押さえるシンジ。

哀れである。

「…?よく分からないけどそうしようか、レイ?」

「えぇ…」

何故か残念そうな顔をするレイ。

「……」

呆れて無言になるアスカと―

「見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ、見ちゃだめだ…!?」

―ずっとこんな調子のシンジ。

初日からカヲルとレイに振り回される二人であった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ