乗り換え注意報!
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sideグレイ
口元が緩むのが分かる。負けた?何を言う、君の腰にはまだボールがあるじゃないか!
『さぁ、トウコちゃん!早く決着を!』
声高々に告げると、しかしトウコちゃんは小さく首を横に振った。
「この子はバトルするために連れてるんじゃないんです。さっきのツンベアーが、わたしの最後の一体………わたしの、負けですよ」
なら何故連れているのか。
疑問には思うが、まぁ詮索されたくない事もあるだろう。
『じゃあ回復しに行こうか。………っとその前に、アリア!』
ぽむ、とボールから出てきたのはフライゴン♂のアリア。男の子だけど名前はアリアです。
「?何するんですか?」
『流石にこのままにしとくのも、ね。しっかり捕まっててねトウコちゃん』
トウコちゃんを腕に捕まらせて、
『じならし!』
だって地面大変な事になってたしねー!
「うわぁあ!?」
「ちょっ、グレイ様!少々お待ち下さいまし!」
揺れた地面、その瞬間フィールドの端から抗議の声が上がった。
『え?………あ、ノボリさんクダリさん!?ごめんなさい、すっかり忘れてました!』
「もはや謝罪に見えない程の良い笑顔でございますね!?」
「揺れっ揺れがぁあっああ止めて!!」
最早近くの木にすがりついて辛うじて立ってる二人を見て、アリアに止めるように指示する。
『地下鉄で揺れには慣れてるんじゃないのかな?あの二人は。ねぇトウコちゃん』
「いえ、むしろあの揺れで立っていられるのはグレイさんくらいじゃないんですか………?」
『えー、でもじしんよりはマシな揺れなのになぁ』
はて、と首を傾げると、トウコちゃんが信じられないと言った目で私を見ていた。何故だ。
「あれより揺れるんですか……」
『まぁね。さっきのも地面ならすのに威力落としてるし』
「威力落としてあれ!?」
トウコちゃんはしばらく私の腕を離してくれなかった。
しかし可愛い女の子に抱きつかれて悪い気はしないのでよしとしよう。
戦いました。
(ほら早く皆を回復させてあげなきゃね)
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